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『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』:決断(青森山田高・天笠泰輝)

ゲキサカ / 2018年12月3日 21時20分

 ただ、天笠の中では青森山田への想いが強くなっていく。「正直アントラーズに行った方がプロへの道が近いとは思ったんですけど、その環境に甘えてしまった時に、自分が本当に成長できるかと考えると、山田に行って親元を離れた方が“サッカー面”も“生活面”も“人間性” も、その3つが本当に成長できると思ったんです」。

「中学校の時は結構遊んでばっかだったんです」と苦笑する天笠にとって、より自分を追い込める環境はどちらかと考えた時に、より言い訳の利かない青森の地で3年間を過ごす方が、目標としているプロサッカー選手になるためにも近道のように思えたのだ。ただ、15歳の少年を群馬から遠く離れた土地へと送り出す周囲の不安も、痛いほど理解できる。同じ北関東でもある鹿島ユースへの進路を支持する意見が、家族の中では大半だったという。

 それでも、天笠の決意を尊重してくれたのは母親だった。「お母さんが『自分が行きたい道に行きなさい』って背中を押してくれたんです」。強力な後ろ盾も得ながら、最後は本人の固い意志が家族を説き伏せる。「『絶対俺はここで成長してプロになる』と言って決めました」。2016年4月。こうして天笠は青森山田高校の門をくぐった。

 青森に来てみて一番驚いたのは、やはり雪だったそうだ。「普通群馬の人だったら、雪が降るって楽しいことじゃないですか。雪合戦したり、雪ダルマ作ったり。でも、こっちに来た時にまずサッカーができないし、本当に不便だったので、『いや、マジで雪降らないでくれ』と思ったんです」。サッカーをするためには、避けて通れない“作業” もある。「こっちに来て初めて雪が降った時に、『え?雪掻きして練習?』と思って(笑) メチャクチャキツいんですよ」。

 だからこそ、強く感じる想いがあった。「でも、それがあるからこそグラウンドでサッカーができる喜びがあって、そういう気持ちをピッチで現わそうと思えるんです。こっちに来てから、『サッカーができる喜び』は群馬にいた時よりも感じています」。おそらくは他の環境に身を置いていたら、そこまでの『サッカーができる喜び』を知ることはなかったかもしれない。この感情を手に入れた経験は、きっと彼の今後に間違いなくポジティブな影響をもたらしていくに違いない。

 1年時のチームは高円宮杯プレミアリーグEASTと選手権の全国制覇という“二冠”を達成した世代。廣末陸(現・FC東京)や高橋壱成(現・レノファ山口FC)、郷家友太(現・ヴィッセル神戸)を筆頭に、高いクオリティを有する先輩たちに囲まれながら、天笠も6月には早くもプレミアデビューを飾る。第7節の鹿島ユース戦では途中出場ながら、カシマスタジアムでのプレーも経験。ゲームはスコアレスドローに終わったものの、沖や結城とはピッチ上で再会を果たすこととなる。

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