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『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』:決断(青森山田高・天笠泰輝)

ゲキサカ / 2018年12月3日 21時20分

 11月に鹿島ユースと対峙したホームゲームではベンチで90分間を過ごし、チームも0-1で敗戦したが、優勝を勝ち獲ったアウェイの最終節でもメンバー入りを果たすなど、1年目は順調にステップを踏んでいた。ところが、一転して2年目はなかなかプレミアでの出場機会が回って来ない。2度あった鹿島ユースとの対戦はどちらもメンバー外。「『プレミアリーグでは鹿島アントラーズに負けたくない』という気持ちでやってきた」にもかかわらず、彼らと同じピッチに立つことすら叶わない。気付けば青森での生活も最後の1年に差し掛かっていた。

 最高学年になってレギュラーの座を掴むと、2年前とまったく同じプレミアEAST第7節では、スタメンでカシマスタジアムの芝生を踏みしめながら、結果は熱戦の末に2-2の引き分け。自らへ誓った勝利を引き寄せ切れない。悔しい早期敗退を突き付けられた高校総体を経て、再開したリーグ戦では全チームで唯一の無敗を継続。そして、2年ぶりのリーグ制覇へ可能性を残した第16節というシチュエーションで、天笠にとって“ラストチャンス”がやってくる。

 11月25日。青森。ここまで無敗で2位に付けている青森山田と、首位を快走してきた鹿島ユースの直接対決。両者の勝ち点差は4。アウェイチームが勝利を収めれば優勝が決定する90分間に、並々ならぬ決意で臨む天笠の姿があった。「今日も親が来ていましたし、おじいちゃんとおばあちゃんにも『鹿島アントラーズには絶対勝て』と言われていました」。ピッチで激突するのは3度目となる“因縁の相手”。あの日の決断が正しかったことを証明するために、何よりチームに勝ち点3をもたらすために、3年間の想いが染み込んだグラウンドへ歩みを進める。佐々木と、結城と、佐藤と握手を交わし、キックオフの笛を聞いた。

 試合開始直後から、双方の意地がバチバチと音を立てるかのようにぶつかり合う。「アントラーズさんが球際やヘディングが強いというのはわかっていましたし、球際で負けたら相手の方が優勢になると思っていたので、自分は試合前から『絶対に球際は負けない』という気持ちでやっていました」と話す天笠が位置した中盤が、必然的に最もヒートアップするエリアになる。前半12分に先制したのは鹿島ユース。青森山田はなかなか攻め手を見い出せない。0-1のまま、ゲームは後半へ折り返す。

 この日、グラウンドの脇には白い雪が積まれていた。「2日前に雪が降って、自分たちのために中学生と高校のメンバー以外の人たちが雪掻きしてくれたんです」と口にした天笠の言葉は続く。「その人たちがいなかったらグラウンドはこんなに空いてなくて、そういうことには本当に感謝しています」。大一番で改めて覚える『サッカーができる喜び』。少なくない“みんな”の想いも背負ったイレブンが、残された45分のピッチへ走り出す。

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