『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』:エクストラ・タイム(駒澤大学・須藤皓生)
ゲキサカ / 2019年1月1日 21時0分
相手は都立三鷹高。リーグの対戦では4-1で快勝を収めており、ワンサイドゲームすら予想された一戦だったが、前半の内に1点を先制された駒澤大高は、攻めても攻めてもゴールを奪えない。後半も一方的に押し込みながら、相手GKのスーパーセーブに阻まれ、時間ばかりが経過していく。追い詰められたアディショナルタイムも6分を過ぎた頃。FKが直接ゴールネットへ吸い込まれ、劇的な同点弾と思いきや、オフサイドの判定で万事休す。須藤たちの選手権は、想像より遥かに早く終止符が打たれてしまう。
「もともと大学でもやると言っていたヤツは、僕らの代はいなかったんじゃないですかね。みんな迷っていた感じで。僕も選手権に行っていたらやるつもりはなかったですから」と須藤は当時を回想する。ただ、あまりにも呆気ない高校サッカーの幕切れに、燃え尽きなかった想いが燻る。「あそこで決意しました。たぶん隆作とかも丈もそうなんじゃないかなと思います」。このままでは終われない。彼らのサッカーキャリアをもう4年間引き延ばすキッカケになったのは、1つの悔しい敗戦だった。
全国中から精鋭が集う名門であり、数々の栄冠を手にしてきた駒澤大学体育会サッカー部。「入部する時から試合に出られると思っていなかった」須藤だったが、1年生から早速Bチームに抜擢されると、2年生の前期には関東大学リーグの公式戦で起用されるようになる。ポジションは慣れ親しんだセンターバックではなく、サイドバックがメイン。必死に食らい付いていったものの、「そんなに自分の中でやれている感覚はなかったですし、正直『大学サッカー厳しいなあ』という想いでずっとやっていました」と振り返る須藤は、それでも少しずつ出場機会を増やしていく。
トップレベルでのプレーは刺激に溢れていた。「例えば筑波だったら三苫薫がいて、僕はマッチアップでしたけど、1人では止められないので、みんなでやってということも良かったですし、法政の上田綺世とはたぶん3回くらいやっているんですかね。やっぱり彼らがこれからどんどんキャリアアップしていった時に、『コイツらとやっていたんだな』という思い出ができたのは良かったですし、非常に良い経験になりました。そこは自分の中で誇っていけるものなのかなと思います」。
4年生になってからは背番号も一桁の2番になり、リーグ戦でも15試合にスタメンで登場。複数ポジションできっちり仕事をこなして、チームのインカレ出場にも貢献してみせる。既に就職は決まっていた。あるいは高校で終わっていたかもしれないサッカーキャリアの締めくくりは、高校時代に届かなかった“冬の全国”。その舞台でも一定以上のパフォーマンスを続けた駒澤と須藤は、前述したように1つ1つ勝ち上がり、とうとう日本一に王手を懸ける。
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