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「環境を変えるだけではぬるい」突然の引退決断、異色のJリーガー井筒陸也はどうやって育ったのか/ロングインタビュー第2回

ゲキサカ / 2019年1月8日 6時36分

初芝橋本高の主将時代、全国高校サッカー選手権の抽選会に出席したDF井筒陸也

 24歳の若さで現役プロサッカー選手を引退し、会社員とアマチュア選手の“二足のわらじ”生活を送るという決断をしたDF井筒陸也。J2徳島の3年間で通算54試合に出場し、契約延長のオファーも受けていた第一線のJリーガーであったことを考えれば、きわめて異例の選択だ。インタビュー第2回では、そんな男の過去と、現実と理念を追う生き様に迫った。(第1回はこちら)

—これまでの経歴を見れば、初芝橋本高、関西学院大とずいぶん違うカルチャーの組織に所属していますよね。今回の決断は、そのあたりとも地続きな気がします。
「違う文化にいたことで、人間的な幅が広がったなって思いますね。中学の時の話もすると、大阪府4部のチームで死ぬほど弱いベンチャーチームだったんです。僕が幼稚園の時に立ち上がって、そこから上がってきた中では一期生という感じでした。(※中学時代までは大阪府堺市のエルバFCに在籍)

 近くにガンバ大阪の下部組織があって、『ここは何かしらの欠陥がある選手が集まってる』『産業廃棄物』とか言われていたくらいのチームで、監督からは『考えてやんないとガンバには勝てないぞ』『勝てないから来たんだぞ』と伝えられていました。その一方で『お前ら、中学3年間ではどんなに努力しても勝てないけど、ひょっとしたら高校とか大学くらいになったら追い抜けるかもしれないぞ』とも。

 考えるという意味では、練習はいつもメニューが決まっているんですけど、監督から常に『メニューの裏をかくようにプレーしろ』『常識みたいなことやってもガンバには勝てないから』と言われていて、実際にルールの裏をかいたらめっちゃ褒めるんですよ。そういうところで育ったのが原体験としてあって、そこで気づいたんですよね。自分は欠けてるんだな、だから自分の頭で考えようって。

—その後は……。
「高校に行ったら行ったで、めちゃくちゃ地獄みたいなところで(笑)。県外に通っていたので朝4時に起きて、帰ってくるのは夜11時みたいな。雨の予報だって分かっているのに、朝にグラウンドの水を抜いて、やっぱり昼から雨が降ってきて、結局、水が溜まってるから練習は外走りみたいな生活でした。

 1年生から学年キャプテンでしたけど、仕事しようぜって言っても誰も全然やんないし、キャプテンだから聞けよって言っても『何でお前の言うこと聞かなあかんの』って聞いてもらえなかったり。そいつらって、今まで喧嘩の力でナンバーワンになってきたヤツなんで、大事なのは実力なんですよ。キャプテンっていう肩書きじゃなくて、そいつが強いのか強くないのか、やってんのかやってないのか。ドライなんですよ。

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