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『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』:サックスブルーの一番うしろ(ジュビロ磐田U-18・杉本光希)

ゲキサカ / 2019年4月12日 8時30分

 それから2年。レギュラーとして迎えた年代最高峰の舞台で、しかも開幕戦で堂々たるファインセーブを披露した杉本は、気合のガッツポーズにも冷静な意図を滲ませる。「最初は『ああいうのはやめようかな』と思っていたんですけど、やっぱりチームが緩くなっていたので、1回大きい声を出すことで、チームの士気が高まればいいなと思ったんです」。押し込まれる状況下でのビッグプレーが再び仲間の表情に活気を取り戻させると、その時はアディショナルタイムのラストプレーでやってくる。

 中盤でボールを奪った流れから、右サイドを運んだ途中出場の池端今汰がクロスを上げると、ファーサイドに飛び込んだのも途中出場の野中悠翔。左足で合わせたボールは、右スミのゴールネットへ鮮やかに吸い込まれる。勝ち越しゴールを告げるホイッスルと、ジュビロの勝利を告げるホイッスルが、ほとんど間髪入れずにAGFフィールドの青空へ続けて吸い込まれる。

「『ウソだろ!』みたいな感じでした(笑) でも、みんな信じていたからああいうゴールが生まれたと思いますし、最後までチーム全員が諦めないで戦い続けた結果かなと思います」と胸を張ったのは杉本。スタンドのざわめきもなかなか収まらない。2-1。「僕だけじゃなくて、クラブの関係者の皆さんもホッとしているとは思うんですけどね」と笑ったのは世登監督。開幕戦をドラマチックに制して、2019年のジュビロは好発進を飾った。

 背負った“21”の数字には、ある2人の姿を自身へ重ねている。1人は2つ上の先輩。「自分が1年の時に、3年生のキーパーだった牧野恋音くん(現・産業能率大)がプレミア参入戦でPKを2本止めて勝ったんですけど、身長も似ていて、やっぱりああいう光景を見た時に、自分がなるべき姿というか、『ああやってチームを救えるようになりたいな』って感じたんです」。

 もう1人はトップチームの守護神。「高2の時も背番号21を着けていたんですけど、やっぱりトップのスタメンは21番のカミンスキー選手じゃないですか。だから、『オレも21番でスタメンを狙う』という自分の意気込みを籠めたんです」。2種登録されている杉本は、トップの練習に参加して再確認したことがあった。

「1つのキャッチにしても、1本のパスにしても全部が正確で、トップのキーパーコーチの大神(友明)さんには、『足元の技術も大事だけど、やっぱりキーパーという職業は“セーブ”でチームを救えるようになって欲しい』と言われましたし、『トップチームの選手があんなに意識してやっているんだったら、自分はもっとそういう意識でやらないと、トップには絶対に近付けないな』と。それから練習のキャッチの1本目や、試合のファーストプレーを凄く意識していて、ノーミスは無理ですけど、ノーミスに近付けるように、練習から意識してやっています」。ゴールキーパーの原点を改めて教えてくれたプロの世界は今や、以前よりずっと身近な距離に広がっている。

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