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「安心できる居場所を作りたい」。FC東京と二人三脚で歩んできた知的障がい者のクラブ「トラッソス」のポリシー

ゲキサカ / 2019年5月1日 19時0分

子供たちと笑顔を見せる吉澤昌好副理事長(左、提供:トラッソス)

 サッカーの本場、スペインの現地でバルセロナ移籍が取りざたされるMF久保建英が所属するFC東京が、2014年から知的障がい者のスクールを立ち上げて運営している取り組みを3月1日付 でお伝えした。そのスクール運営を創設期から今まで支えてきたのが、都内に拠点を置くサッカークラブ「トラッソス」だ。現場を統括する吉澤昌好副理事長が明かす。

「2003年、調布市が主体となって障がいがある人へのサッカー教室を開催した時、ちびっこを指導する人がいなくて、お話をいただきました。その教える模様を見ていた当時の調布市サッカー協会の会長さんがものすごく気に入ってくださり、FC東京の幹部の方にお話ししてくださったことがきっかけです」

 FC東京のスクールの場合、20人前後の生徒に対してスタッフは5人。しかし、5人のうち1人は「ピッチ外要員」とされている。なぜなら「集合」の掛け声をかけても、必ずしも全員が集まるわけではないからだ。生徒の中には輪に入ることを怖がり、スクールに来る途中に寄り道をするような生徒もいる。そういった生徒をフォローすることが、トラッソスから派遣されるスタッフの役割でもある。吉澤氏が解説する。

「健常者はその日、気持ちが100%向かなくても、何とかごまかしながら過ごすことができるかもしれませんが、知的障がいのある子たちは自分の気持ちを正直に出します。輪に入れない、というのは理由が必ずある。さかのぼって話を聞いていくと、自分で他者と比較して自尊心を傷つけられていることもある。僕はその輪に入れないような子にしっかり向き合うために、出来る努力を惜しまないように心掛けています」

 はぐれた子にシンパシーを感じるのは、吉澤氏の人生経験と無縁ではないだろう。
「僕は小さい頃、いじめられた経験があって、サッカーというのはある意味、逃げ道だったんです。サッカーの練習にいけば、そこではいじめられない、というか……。でもいじめがなければ、もっと純粋にサッカーを楽しめたと思うんですよ」
(提供:トラッソス)
 高校時代までサッカーをやっていた吉澤氏は一般企業に就職後、24歳のときに脱サラしてサッカーを指導する仕事に就いた。Jリーグの名門クラブが母体となっているサッカークラブで将来、プロを目指す小中学生を指導した。収入を補うため、指導がない午前中に公立中学校の特別支援学級で知的障がい者の方の介助員の仕事をしたことが、障がい者と接するきっかけとなった。

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