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【令和を迎えて】ソーシャルフットボール元日本代表・小林の告白「病気をカミングアウトした理由」

ゲキサカ / 2019年5月7日 18時16分

「不安はなかったですね。あの1か月が今の自分を形成するのに役立っています。両国の豊かさの違いを感じました。日本人は仕事に忙殺されていますが、スペイン人はたわいない話もしながらご飯を食べることを楽しむんです。ある日は、お昼を食べに行って正午にはじまり、終わったのが夕方5時という日もありました。こういう生き方もあるんだ、とわかって肩の力が抜けました」

 さらに昨年3月、ソーシャルフットボールの全国大会前に愛媛で合宿があり、YARIMASSE大阪の仲間と共に初めて寝食をともにし、お互いの理解が深まり、弱さをさらけ出すことへのこわさが減っていった。

 この間、日本代表にも選ばれた小林は昨年5月、イタリアで行われたソーシャルフットボールのワールドカップで4試合に出場した。その4か月後、再びスペインに渡った。1年間、ゴレイロ(GK)としてプレーするつもりで、FD.TALAVERA F.Sと契約も結んだ。しかしスペインでの生活がはじまって約2か月後、体調が悪くなり、帰国を余儀なくされた。

「日本人とシェアハウスで生活したんですが、彼らの方がスペイン語できたり、通っていたスペイン語学校の中でも、僕が一番できなくていろいろ比べてしまって……。ある日、授業の日に過呼吸で倒れて救急車で運ばれてしまったんです」(小林)

 真庭氏は小林の「挫折」をこうとらえている。

「今回の帰国は、ライフスタイルの変化によるストレスによる再発ともとらえられます。でも僕らからしたら、(スペインに)行ったこと自体がすごいこと。我々だって行きたくてもなかなか行けない。そこを自分から行動して、道を切り開いていたことはすごいことです。帰ってきた時はさすがに悔しがっていたし、ちょっと恥ずかしさもあったと思いますけど、以前は弱いところを見せまいと自分のことを話したがらなかった小林が、素直にもといたチームに戻ってきた。仲間にも『コイツもしんどいんだな』という一端を見せた。仲間もうれしかったと思います。今まで20年病院に勤めてきましたが、小林みたいな人はいないタイプです。ソーシャルフットボールという競技においても、治療の現場においても、彼みたいなタイプがいないと発展していかないんだろうなと思います」

 失敗はできるならしたくない。それは健常者も障がい者も同じだ。その失敗が積み重なったとき、「人と付き合いたくないからひきこもる」という行動をとる傾向にあるのが、精神障がいのある人たちだ。でも真庭氏の指摘通り、小林のように失敗をおそれることなくやりたいことにトライする人が増えれば、「小林を見てごらん」と言うだけで、説得力が出てくる。失敗やミスを深く後悔するのではなく、「そういうこともあるよな」ぐらいのとらえ方をできるような「場」を作ることに、真庭氏は心を砕いてきた。

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