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『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』:信頼(國學院久我山高・明田洋幸)

ゲキサカ / 2019年9月19日 20時22分

 ただ、清水恭孝監督は最初から明田をキャプテンに指名することを決めていた。「凄くイジられているキャラだし、それに対して受け止められる子だし、ちゃんと正義感もあって明るいし、本当に自分の息子がああいう子だったらいいなって思う子です」と笑顔で話した後に、続けた言葉が印象に残る。「久我山っておとなしくてマジメな子が多いんですけど、こういう明るさを持っている子は多くないんですよ」。最終的にはスタッフ間の話し合いで「明田だったらチーム全体の雰囲気を変えられると思う」と清水監督がプッシュし、2019年のチームキャプテンは明田に決まった。

 シーズンがスタートしても、しばらくは不安が心の中の大半を占めていた。トップチームには入っているものの、コンスタントに出場機会を得るまでには至らない。「久我山では技術が足りないと試合に出られない部分もありますし、トップチームで試合に出ている選手とプレーしてみて、やっぱりボールタッチの丁寧さとかパススピードとか、動き出しとかも全然足りていないと思います」という冷静な自己分析とは裏腹に、抱いていた“久我山のキャプテン像”とのギャップに苛まれる。

「最初の頃は下のカテゴリーの選手とかにも、話し掛けるのを凄くためらったんですよね」。試合に出ていない自分の言うことなんて、聞いてくれるのだろうか。そう想う心が周囲との積極的なコミュニケーションにストップを掛ける。明るく振る舞う“外側”と、思い悩む“内側”が自身の中でせめぎ合う。

 きっかけは自分の中にあった経験だった。「1、2年生の時になかなか試合にも出られていなくて、その頃にもやっぱり『みんなと一緒に喜びを分かち合いたいな』という気持ちが凄く大きかったんです」。今年の3年生に明るいキャラクターが揃っていたことも追い風に、明田は決意する。「1年生とトップチームの距離を縮めるためにも、話し掛けやすいキャプテンになろう」。この方向性が決まったことで、それまでギシギシと軋んでいた自分とチームを繋ぐ歯車が、ようやくスムーズに回り出す。

 久我山のサッカー部は180人近い大所帯。さすがに1人ですべてを把握することは不可能だ。「カテゴリーごとに1人か2人はまとめてくれる人がいるので、今はどういう状況なのかをしっかり確認して、日々コミュニケーションを取れるようにはしていますね。下のカテゴリーになると自分が応援に行けないことがあるので、そういう時は練習で1年生にもしっかりと話を聞いて、『足りないことがあったら自分に言ってほしい』とか、そういう声を掛けています」。全体の風通しを一番に考え、積極的に多くの部員に関わっていくことで、少しずつ自分なりのやり方が確立されていく。

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