落合陽一氏×日本サッカー協会。“異色のコラボ”会見で明かされた「サッカーの過去、現在、未来」変革案
ゲキサカ / 2022年6月24日 6時0分
日本サッカー協会(JFA)は23日、筑波大学デジタルネイチャー開発研究センターとの共同で、「物理再構築技術とサッカーの融合」に関する研究を行うことが決まったと発表した。センター長を務める落合陽一氏が同日、JFAハウスで記者会見に出席。「サッカーを楽しむ者の一人として、多くのものを感じて、感動して、熱狂するようなものを当事者性を持ってつくっていきたい」と意気込んだ。
落合氏はメディアアーティストとして活動しつつ、数々のテレビ出演や執筆活動を続けている研究者。同センターでは「計算機自然(デジタルネイチャー)」というテーマを掲げ、「人と機械,物質と実質の間に多様な選択肢を示す」ための取り組みを進めている。
そんな異色の研究者とJFAによる史上例のないコラボ。田嶋幸三会長は「発想が先に先にと行っていく。はっきり言って、僕がこうしてああしてなんて言うレベルじゃないものをぜひ期待したい。僕らが想像もつかないようなものを研究していければと思う」と現状の枠組みでは考えられなかったような未来に期待を寄せる。
この研究で落合氏が目指していくのは、サッカーに関する「現在」「過去」「未来」の変革だ。
「現在」に関する取り組みでは、スタジアムで行われているサッカーをどのように見て、どのように楽しむかが主題。「僕が一番やりたいのは世界で一番自由に動ける観戦環境を作ること。そして世界で一番多様な人にサッカーを届けること」。センターでは耳が聞こえにくい人に音楽や情報を届けたり、視覚障害を持つ人でも楽しめるスポーツの開発などを行っており、そのノウハウをサッカーを楽しむことにも活かそうとしている。
また落合氏は「お恥ずかしながら僕はサッカーは苦手で、球技全般が得意じゃない」といい、「サッカーを見ることはあるけど、もっと楽しく見られたらいいなと思うことがたくさんある」というライト層の立場。「何がオフサイドか、PKが何かは分かるけど、僕の弱点として諸外国の誰が上手いとかは分からないし、選手が何が得意なのかは分からない。選手の特徴や、リプレイを見ていてどこが面白いのかを人の多様性に応じて伝えられたらいいなと思う」と自身の関心から出発し、サッカーの伝え方を模索していく構えだ。
そんな落合氏はサッカーの試合について「臨場感を伝えることが最も基本的で、一番響くコンテンツなのかなと思う」と分析する。臨場感を伝えるにあたって重要なのは“視点”。「いまの自由視点映像は多角的なカメラから撮って、それによって視点を回すタイプが多いけど、そうじゃなくて仮想ドローンみたいな視点、カメラの位置によらない視点があればいい。また選手自体をeスポーツのポリゴンに置き換えてしまえば、自由なところから撮影したのと同じようなことができるので、そういったことを多角的に研究していって、今までと違ったカメラアングルが見つかればと思っている」と述べつつ、映画『マトリックス』の“バレットタイム”を例に出し「あれを見せられるとこういう見方があるんだと思うこともあったと思う。違ったカメラアングルとか、こうやって映したらいいんじゃないかと探ってみたい」と想像をめぐらせた。
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