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混乱招いた福岡vs川崎Fの一発レッド…発端は「カード対象の見失い」JFA審判委が説明

ゲキサカ / 2022年8月23日 20時0分

■「主審の判定→VARの助言」が大原則
 こうしてみると一見、主審とVARの協力によって、正しい判定を導くことができた事例のように思われる。しかし、その手続きには大きなイレギュラーがあった。

 VAR制度の原則を踏まえると、本来VARが介入する際には、まず主審が判定を行い、続いてVARが助言を行うというのが大前提。主審が判定を下す前に、VARに意見を聞くことは許されていない。ところがこの場面では、主審の判定が完了するまでの間にVARの助言が行われ、それをもとに主審の最終判定が行われた形となっている。

 東城氏は「大前提だが、主審としては判定をまずすること。懲戒罰も含めて下さないといけないと競技規則にも書いている。それを受けてVARがチェックを始める」と原則論を説明した上で、「レッドカードを示すまでの間、選手に来られてしまったので、一瞬そっちの対応をして目を切ったのもあるかもしれないが、うまく対応できたらよかったのかなと思う」と課題を認めた。

 その一方、VARによる選手の特定が主審の判定につながったことについては「チェックの中で番号を伝えるのは通常の流れ。ただ誰か分からないからポンと伝えるのは違うと思うが、チェックの中で何番にイエローカードでというのは通常やっていること」とし、VARの運用上は「大きな問題はない」という見解を示した。あくまでも今回の助言は、VARチェックという手続きの中での情報伝達であり、判定修正につながる「レビュー」にはあたらないという例外的な考え方だ。

■「人間違い」ではなく「見失い」をどう解決すべき?
 たしかにこうした問題が起きた場合、VAR制度の原則論に基づいて解決するのは非常に難しい。

 VARというシステムでは、カード対象の「人間違い」に介入することは認められている。しかし、それはあくまでも「10番の選手にカードを出したが、本来は33番の選手だった」というケースなど、主審の最終判定が誤っていた場合にのみ認められる手続き。今回のように「そもそも誰がカード対象なのか分からない」という「見失い」の例は制度に定められていない。かといって「誰か分からないから10番にカードを出しておいて、VARの介入を待つ」というやり方も適切とは言えないだろう。

 すなわち、VARの制度上適切な運用であったのかという疑問は依然として残るものの、制度がカバーしきれていないケースの解決策としては理にかなったものであったとも捉えられる。

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