『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』:取り戻す(三菱養和SCユース・後閑己槙)
ゲキサカ / 2024年2月21日 12時41分
凌いで、凌いで、1点差のままで迎えた前半43分。“ホームチーム”に絶好のチャンスが訪れる。相手陣内でスムーズにボールを繋ぐと、MF中村圭汰(2年)が右サイドへ浮かせたパスへ、オーバーラップしていたサイドバックが突っ込んでくる。
「もう『来るかな』っていう感覚ですね。仲間を信頼している部分もありますし、ディフェンダーですけど点を獲りたい気持ちが一番にありますし、味方の動く位置やスペースを認知して、行くべきタイミングで前に出るのが自分の良さだと思っているので、そこで出ていって、もう触るだけでした」。
後閑がボレーで叩いたボールは鮮やかにゴールネットを揺らす。「自分はビッグゲームになればなるほど燃えるタイプで、そういう時に点を獲れるタイプだと思っているので、素直に嬉しいですね」。応援席へと駆け出したスコアラーは、ひとしきり大声で吠えてみせると、いとこの子どもがお気に入りだというパフォーマンスで自身をアピール。「今シーズンはそれをやろうかなと思っています(笑)」と言い切る明るさも、何とも“養和っ子”らしくて微笑ましい。
指揮官もそのゴールを苦笑交じりに振り返る。「まあ出来過ぎだったんじゃないですか。普段の練習ではあんなの見たことないけど(笑)。でも、前に行く推進力のある子なので、その良さをチームのオーガナイズの中で出してあげられればと思いますね」。前半終了間際の1点で、チームが大きな勇気を得たことは間違いない。
後半も苦しい展開は変わらない。だが、三菱養和ユースはセンターバックのDF高橋大稀(1年)とDF大石優生(2年)を中心に、相手の攻撃を粘り強く防ぎ続けると、31分にはMF岡新大(2年)が、41分にはMF今井颯大(1年)が続けてゴールを奪取。「点を獲ってくれた前の選手に『ありがとう』と言いたいですね。本当に助かりました」と後閑も口にしたように、少ないチャンスをアタッカー陣が生かし切り、終わってみれば3-1で勝利。23日に西が丘で開催される決勝戦へと駒を進める結果となった。
だが、彼らの中に慢心はない。「自信には繋げてほしいと思うけど、それが過信にはなってほしくないし、実際に今日も試合をやりながら、自分たちが積み上げていかないといけないことなんて山ほど出てきていて、攻撃でも守備でもセットプレーでも、そういうことが出たのは凄く良かったです」という増子監督の言葉に続き、後閑も「シンプルに勝ったことは嬉しいですけど、1人1人の体格も、上手さも、頭の良さも全然違って、『このままじゃダメだな』という気持ちは正直ありました」と話している。
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