選手ミーティングで「本当に自分の本心を喋った」、佐藤恵允が誓った“還元”
ゲキサカ / 2024年4月25日 2時48分
言葉に出したことで重苦しかった気持ちが軽くなり、新たなエネルギーが湧き上がってきたことをMF佐藤恵允(ブレーメン)は感じていた。韓国に0-1で敗れた翌日。夕食後に行った、このチームで初めての選手だけのミーティングで、佐藤は思いの丈をチームメートの前で素直に口にした。
「今までふがいないプレーをしていたという話と、カタール戦でノックアウトステージが始まるということで自信を持ってプレーしようと言った」
途中出場した韓国戦では、1点を追う後半アディショナルタイム7分過ぎに訪れた決定機で、佐藤が打ったヘディングシュートがポストに嫌われ、チームは0-1で黒星を喫した。グループリーグ3試合で無得点。責任を感じて思い悩んでいた背番号10は落ち込むあまり、「一人になる時間を作らなかった。みんなとできるだけ一緒にいる時間を作った」という。
「試合に負けたっていうのと、それに加えて日韓戦に負けたというのと、自分が負けに直結するようなプレーをしたこと。ゴール決められなかったことが一番」。胸の重荷を一人で抱え込んでいた。
そこへ訪れたミーティングでの発言機会。口火を切ったキャプテンの藤田譲瑠チマが話を終えると、副キャプテンの内野貴史から「恵允、なんかある?」と振られた。
「じゃあ喋る、ということで喋った。本当に自分の本心を喋った。思いをみんなに伝えることで自分の気持ちも楽になった。ここにいる人たちはみんなファミリーだよと言ってもらえたので、すごくホッとした」
そう言って柔らかい表情を浮かべると、「そういう意味では貴史はよく見えている」と冗談めかしながら感謝した。「自分はあまりメンタルに食らわない人なので、周りからしたら珍しいなと思っている人が多かったと思う」とも言った。
カタールとは昨年秋の杭州アジア競技大会のグループリーグ初戦で対戦し、3-1で勝利している。佐藤は今回のU-23日本代表の中でこの試合に出ていた数少ない選手の一人。逆にカタールはその試合のメンバーの大半が今回のU23アジアカップにもおり、佐藤が肌感覚として持っている情報は貴重だ。
「今でも鮮明に覚えている選手が結構いる。試合に出ていた人が知らない選手に還元してあげることができるのはすごくプラスになる」
もっとも、一番の“還元”は佐藤自らがゴールを決めて勝利に貢献することだ。
「10番としての仕事を何も果たせていない。明日の試合(カタール戦)をラストチャンスだと思って、日本の代表として誇りを持って闘いたい」
本来の元気を取り戻したウイングストライカーが大一番に向けて言葉に力を込めた。
(取材・文 矢内由美子)
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