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『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』:憧れの向こう側(ファジアーノ岡山U-18・磯本蒼羽)

ゲキサカ / 2024年5月23日 19時10分



 2年生だった昨シーズンは、肩の脱臼で春先から半年近い長期離脱を余儀なくされる。その間にチームは夏のクラブユース選手権で、史上初の全国4強へ進出。「チームが勝ったことは嬉しかったですけど、自分もあそこで活躍したかったですし、正直自分がいなくなってから結果が出ていったので、『自分は必要ないのかな……』とか考えたりしました」。磯本の心の中には複雑な感情が渦巻いていく。

 ただ、リハビリと向き合う17歳を支えてくれたのは、気の置けないチームメイトから送られた励ましの声だった。「自分はそう思っていても、チームメイトは『蒼羽が帰ってきてくれていたら、(準決勝の)ガンバ戦は勝っていたのに』とか『優勝できたのに』とか言ってくれて、みんなが自分が思っていたよりもずっと声を掛けてくれたので、それが一番頑張れた理由でした」。

 12月。プリンスリーグ中国を制した岡山U-18は、プレミアリーグ昇格を懸けてプレーオフへ臨む。戦列へ復帰したばかりの磯本は2試合に途中出場すると、得意のドリブルを生かして攻撃のアクセントを創出。チームも逞しく2つの勝利を積み重ね、新たな歴史の扉をこじ開ける。

「プレーオフは手術が終わってから一番目標にしていた試合だったので、もちろん自分のプレーよりもチームの勝利を考えてプレーしましたし、途中からでしたけど試合に出られて、チームとしてもプレミア昇格を果たせて、とても嬉しかったです」。最高の置き土産を残してくれた3年生をはじめ、悲願を達成したみんなの笑顔は今でもハッキリと覚えている。


 雨上がりのあの日の夜。憧れのピッチの“こっち側”から歪んだ視界で眺めた光景は、絶対に忘れたくない。

 4月24日。シティライトスタジアム。『2024 JリーグYBCルヴァンカップ 1stラウンド2回戦』で横浜FCと対峙するファジアーノ岡山のメンバー表には、背番号60番台の選手が4人も書き込まれていた。62番、磯本蒼羽。64番、藤田成充。65番、南稜大。66番、三木ヴィトル。いずれもU-18に所属する、2種登録の高校生だ。

「自分はスクールに通っていた時も、ずっとスタジアムの上から『あのピッチでプレーしたいな』と思いながら、ジュニアからファジアーノ岡山に入りました。そこからずっと夢は変わらず、『あのピッチで試合に出たい』という気持ちでやってきて、やっと高校3年生でベンチ入りできたんです」。そう話す磯本は、並々ならぬ意欲で試合当日を迎えていた。

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