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先輩たちの悔しさを引き継いだ世代が堂々と立った日本一へのスタートライン。帝京は後半ATの決勝弾で日大豊山に逆転勝ちを収めて全国切符!:東京

ゲキサカ / 2024年6月16日 17時59分



 以降はリードを奪ったことで、日大豊山の落ち着いたプレーが際立っていく。相手にポゼッションでは上回られながらも、GK高橋謙心(3年)、DF石田悠太郎(3年)、DF丸山修史(3年)を起点に丁寧なビルドアップにトライ。簡単にボールを捨てるようなマインドは持ち合わせていない。さらに左の大根や、前線の葛西と大山の2トップにパスが入ると、個人で時間を作りつつ、相手に脅威を突き付ける突破も披露。「先制してからは自分たちのボールも大事にできる時間が増えてきたので、こっちの期待以上だったかなと思います」と海老根監督も言及している。

 ところが、スコアは一発のゴラッソで振り出しに引き戻される。40+6分は帝京のFK。中央やや左寄り、ゴールまでは約25メートルの位置。「いつもはほとんどFKは蹴っていないんですけど、『今日は行けそうだな』と思ったんです」という土屋が直接蹴り込んだボールは、綺麗な軌道を描いてゴールネットへ吸い込まれる。「ずっと決めそうなオーラはあったので、そのオーラを信じて、見ていました」とキャプテンの砂押も口にした、13番のスペシャルな同点弾。1-1で最初の40分間は終了した。



 後半はスタートから帝京が動く。「相手とちゃんとマッチアップして、ちょっとボールを動かしながら、縦に刺せるようにという意図」(田所)からMF永田煌(3年)と杉岡を投入するも、先にチャンスを掴んだのは日大豊山。後半6分。ここも左サイドを大根が運び、MF高岡佑吏(3年)が打ち切ったシュートはクロスバーにヒットしたものの、あわやというシーンを創出する。

 12分も日大豊山。セットプレーの流れから大根のフィードを丸山が巧みに収め、葛西が枠内へ収めたシュートは帝京のGK大橋藍(3年)が正面でキャッチ。18分は帝京に決定機。右サイドで永田、土屋、杉岡と細かく繋ぎ、FW宮本周征(2年)のクロスに、DFラビーニ未蘭(3年)のヘディングはゴールを襲うも、高橋がビッグセーブで回避。「選手たちは失点にもちゃんと気持ちを切り替えて、勇気を持ってちゃんと自分たちのやるべきことをやってくれていました」(海老根監督)。一進一退。次の1点を巡って、双方の意地がぶつかり合う。

 試合を決めたのは、途中出場でピッチに解き放たれた2年生アタッカーだった。後半のアディショナルタイムもほとんど終わりかけていた40+5分。右サイドでゴールキックにしようと相手ディフェンダーに身体を入れられた杉岡は、「取れそうな感じはありましたね」と粘ってボールを奪うと、少しだけ中央に切れ込んで左足一閃。ニアサイドを抜けたボールはゴールネットを激しく揺らす。「もう『ニアに打てば絶対入る!』と思って打ち抜きました」と笑った17番の“サヨナラゴール”で勝負あり。帝京が粘る日大豊山を振り切って、全国への出場権を手繰り寄せる結果となった。

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