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驚異の大会通算6アシストを記録した超攻撃的右サイドバック。川崎F U-18DF柴田翔太郎が携え直したタイトル獲得への覚悟

ゲキサカ / 2024年8月2日 9時30分



 29分。MF加治佐海(3年)とのワンツーで右サイドを抜け出すと、クロスを送り込むべきポイントがその視界にハッキリと浮かび上がる。「得点だけしか狙っていなかったですし、中に良いストライカーがいるので、そこに合わせるだけでした。武に感謝したいと思います」。右足で蹴り込んだクロスを、FW香取武(3年)が完璧なボレーでゴールへ叩き込む。今大会だけで数えても、実に6つ目のアシスト。2-1。スコアは引っ繰り返る。もう優勝カップは、ほとんど掴んでいたはずだった。



 悪夢はアディショナルタイムに待っていた。40+2分。40+6分。CKとFKから連続失点。タイムアップのホイッスルが鳴ると、G大阪ユースの選手たちの歓喜が緑の芝生の上で爆発する。真夏の激闘をみんなで潜り抜けてきた川崎F U-18の奮闘も、日本一にはわずかに及ばなかった。


 6月。柴田は深刻なスランプに陥っていた。

「もっともっとレベルアップしようと思って臨んでいた期間で、監督からも高い要求をされていましたし、そこで自分も成長できると思っていたんですけど、その中で自分を見失ってしまった部分もあって、縦に仕掛けようと思っても『ボールを失ってしまうんじゃないか……』と思ったり、『ここで前に行っても、スペースを空けて失点してしまうんじゃないか……』と考えたりしていました」。本来のアグレッシブなプレーが鳴りを潜め、消極的なメンタルが心の中を占めていく。

 だが、立ち上がる。前を向く。なぜなら指揮官はずっと自分を信頼して、自分を使い続けてくれたからだ。「正直、スタメンを外れるかなと思っていたんですけど、ヤスさん(長橋康弘監督)が信頼して使ってくれたからにはもうピッチでやるしかなかったので、吹っ切れてやろうと思って臨んでいました」。

 プレミアリーグEASTでも前半戦のラスト3戦では、すべての試合でアシストを記録。そこからこの日の決勝までの9試合では、実に9つものアシストを重ね、チームに確かな結果で貢献し続けてきた。

「ヤスさんも現役時代はサイドバックで、自分と重なるところがあって、僕はヤスさんほど上手くないですけど(笑)、全然うまく行っていない時期でも、厳しく言い続けてくれたので、そこは自分の中でも感謝しなくてはいけないなって。早くヤスさんが要求していることをできるようなレベルの選手になって、もっともっと自分の良さを出していきたいなと思います」。だからこそ、胴上げしたかった。日本一の景色を、一緒に見たかった。

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