転機は大会直前のPK猛練習…ゴールマウスに座って、踊って、敗れた尚志“PKキーパー”針生東の苦悩、覚悟、未来
ゲキサカ / 2024年12月31日 19時20分
[12.29 選手権1回戦 尚志高 0-0(PK3-5) 東福岡高 NACK]
NACK5スタジアムに集まった満員の大観衆が大きくざわめく中、尚志高の“PKキーパー”はゴールマウスの前に座って、笑って、踊った。しかし、相手キッカーに想定していた動揺は見られず、最後は次々と繰り出される5本のキックに指を触れさせることができないまま、失意の終幕を迎えた。
後半アディショナルタイム2分からの投入で“PKキーパー”を務めたGK針生東(3年=A.C AZZURRI)は高校サッカー生活最終戦となった東福岡高戦後、涙ながらに「スタンドからの応援を受けて自分を信じてくれた人がこんなにいるんだという気持ちを感じていた。なのにチームを勝たせられなかったことが本当に悔しい」とうつむいた。
“珍プレー”めいた受け止められ方でSNS上の注目を集めた尚志対東福岡のPK戦。試合を終えた尚志の仲村浩二監督は「あの子のために交代枠を一つ残したわけじゃなく、展開の中で交代枠が空いていれば使おうかなと思っていました」と“PKキーパー”起用を振り返りつつ、針生のスタイルを尊重して送り出した決断の舞台裏を明かした。
「彼は仲間にかける言葉がものすごく素晴らしい人間で、どんなに逆境の高円宮杯プレミアリーグでも彼が一人で前を向いて、戦うぞということを常に言い続けてくれた。チームが悪い方向に行きそうな時も彼が戻してくれて、俺が欲しい言葉をかけてくれたりとか、チームが緊張してくれる時にリラックスさせたりとか、そういった素晴らしいサポートをしてくれるキーパーだった。そこで大会直前に練習をいっぱいしている時、彼がああいった変なといったら失礼ですが、面白いパフォーマンスをして結構止めたんですね。そこで彼の人間力が出ているなと思って、僕らは信じてかけてみようと思いました」
「そこで勝てれば本当に幸せでしたけどね。でもサブキーパーって試合に出られなくて、一番辛い状況の中ですごくチームを支える素晴らしい人間で。彼もだんだんそう変わってきたんです。最初は彼も自分本位な部分が少しあったんですが、それがチームのためにというのを全面的に出せるようになったので、今回はかけてみました。ああいうユニークなことも普通の高校生だとやりづらいじゃないですか。でもそれも彼はチームのために1本でも止められるようにと、身体を小さくしてから大きくすると、そういうアイデアで。それを僕たちは信じました」
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