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『SEVENDAYS FOOTBALLDAY』:やり切った(愛工大名電高・蒲地陽汰)

ゲキサカ / 2025年1月2日 8時17分

 後半21分。セットプレーから途中出場のFW岩間丈一郎(3年)が1点を返すと、会場全体の空気感が変わる。「前育は吹奏楽があるにもかかわらず、スタンドの名電の応援席の方々が声だけで会場全体を巻き込んでくれて、本当に感謝しかないです」(蒲地)。声援に後押しされた愛工大名電の選手たちに、スイッチが入る。

 蒲地が特に印象深かったのは、双子の弟・MF蒲地壮汰(3年)に注がれる声援の数々だったという。「僕が一番嬉しかったのは壮汰がボールを持った時の雰囲気で、『何かやってくれるんじゃないかな』と会場が思ってくれていることを感じたんです。僕たちも『もう壮汰、お願い!』って感じでしたし(笑)、期待以上のプレーを毎試合出してくれたので、本当に手に負えないですね。最高の弟です」。

 後半40+1分。FW水野桜介(3年)がPKを獲得。土壇場で同点に追い付く絶好のチャンスがやってきた。蒲地もペナルティスポットに向かったが、そこで“弟”の確固たる決意がよくわかったという。

「毎回PKは僕が気持ちだけは蹴りに行くつもりで、スルスルとPKスポットに行くんですけど(笑)、壮汰の隣に行ったら『任せろ』と言われたので、『ああ、もうこれは決めるな』と。あの言葉を聞いて、『アイツならやってくれるな』と思いました」。有言実行。“弟”はGKの逆を突いて、冷静にPKを決め切る。2-2。試合はPK戦へと突入していく。

土壇場でPKを決めた蒲地壮汰と宮口典久監督がベンチ前で抱き合う

 後半終了間際に投入された“PKキーパー”のGK相原諒(2年)は、前橋育英の1人目と3人目をともに完璧なセーブでストップ。チームは大きな勇気を得る。愛工大名電も3人目の壮汰、4人目の陽汰を含めて次々と成功。だが、決めれば勝利が決まる5人目のキッカーが蹴り込んだ軌道は、枠を外れてしまう。

 決着は8人目で付いた。中根が蹴った渾身のキックは、相手GKに弾かれる。「僕は全然後悔していないです。陽向が一番苦しいところで蹴ってくれたことに感謝の気持ちでいっぱいですし、選手権に入ってから陽向がスタメンに入って、スタメンから外れた(野波)伸真の想いも背負ってくれたと思いますけど、僕が隣にいたのに3年生の想いを背負わせ過ぎてしまったのかなと思います」。蒲地は涙に暮れる1年生に優しく感謝の言葉を掛ける。愛工大名電が続けてきた冬の冒険は、大みそかの2回戦でその行く手を阻まれることになった。

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