高校ラストゲームは負傷交代も「最後まで自分らしく終われたのかなと思います」 帝京のキャプテンを務め上げたMF砂押大翔が貫く笑顔の行方
ゲキサカ / 2025年1月3日 20時5分
[1.2 選手権3回戦 明秀日立高 1-1(PK5-4) 帝京高 U等々力]
最後の瞬間はピッチの外から見つめることしかできなかった。でも、これまでもみんなで戦い抜いてきたのだから、悔いはない。もう少しだけ一緒にサッカーをしたかったけれど、最高の仲間たちと『新しい帝京』は十分にアピールできたのだ。堂々と胸を張ればいい。
「優勝という結果を目指してやってきたので、そこに対して悔しい想いはありますけど、今度は選手権での優勝を後輩に成し遂げてもらうために、自分たちも胸を張ってタスキを渡せるんじゃないかなと思います。このメンバーと一緒に戦えて良かったです」。
15年ぶりに選手権へ帰ってきた帝京高(東京B)を束ねる不動のキャプテン。MF砂押大翔(3年=鹿島アントラーズノルテジュニアユース出身)はカナリア色の誇りを抱きながら、凛とした笑顔とともに選手権の舞台を去っていった。
「相手のプレスに苦しんだ場面が多くて、自分たちが目指しているポゼッションサッカーがなかなかできない状況でした」。砂押は最初の40分間を振り返って、そう口にする。昨年度のインターハイ王者・明秀日立高(茨城)と向かい合った3回戦。相手の強度の高いプレスを受け、帝京は持ち前のパスワークや複数人の連動した崩しが出てこない。
「前を向いた瞬間に、相手のプレスを感じるようなポジションを取ってしまっていましたね」。ボランチの位置でゲームメイクを任されているものの、効果的な縦パスは差し込めず、どうしても忙しい展開に巻き込まれてしまう。「それでも前半を無失点で終えられたのは、チームとしてもプラスに帰ってこれるポイントでした」。前半はスコアレスで40分間が推移する。
後半1分。セットプレーの流れから、いきなり失点を食らう。「後半は立て直していこうと言っていた中でのああいう失点だったので、やっぱり甘さが出たんじゃないかなと思います」と砂押。0-1。カナリア軍団は追い掛ける展開を強いられる。
前半から左足の太ももに違和感はあった。30分過ぎに相手と接触したタイミングで、いわゆる“モモカン”を食らっていたからだ。何とかアドレナリンで痛みをカバーしていたものの、少しずつ自分の足が動かなくなっていることは、はっきりと自覚していた。
「足に力が入らなくなってしまって……。やり続ける選択肢もあったんですけど、『このままではチームに貢献できないな』と思いました」。27分。左腕に巻いていた赤いキャプテンマークをDF田所莉旺(3年)に託し、担架に乗せられた砂押はピッチを後にする。
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