スタメン落ちの葛藤は家族LINEに置いてきた…守備で輝く流通経済大柏MF稲田斗毅「ふて腐れていたら良い影響をもたらせない」
ゲキサカ / 2025年1月11日 23時59分
[1.11 選手権準決勝 流通経済大柏高 1-0 東海大相模高 国立]
国立競技場での全国準決勝という夢の大舞台、突然のスタメン落ちという立場が悔しくないはずはなかった。それでも日本一という何より大きな目標のため、流通経済大柏高MF稲田斗毅(3年=FC KASUKABE U-15)はフラストレーションをグッとのみ込み、1-0で迎えた後半45分間のピッチに向かった。
求められた役割も、こなすべき仕事も明白だった。「前半は相手に持たれることが多くて、潰し切れていないところがあったので、自分が出たら潰し切るだけだなと。相手は真ん中に枚数が多く、テンポよく剥がされることがあったので、そこだけを考えて後半に入った」。攻撃は味方に任せ、守備の仕事を全うする覚悟を固めていた。
「自分の特徴がボール奪取やセカンドボールの反応なので、後半は守備だけを考えた。攻撃は上手い選手がいるのでやってもらって、自分はケツを拭くというか、こぼれたところを取りに行くことを考えてやっていた」(稲田)
その仕事はすぐにピッチ上の趨勢に表れ、後半は東海大相模が自由にボールを握れる時間帯が減少。相手については「予想以上に強くていいチームという印象を感じた」と敬意も口にした稲田だが、幅広いプレーエリアと強度の高い対人守備により、1-0のまま試合を締めくくるという役割を完遂した。
今大会は先発こそ2試合にとどまるが、3回戦・大津戦で高校年代屈指のボランチMF嶋本悠太を抑え込むなど、異質なデュエル能力を示してきた稲田。大津戦では「嶋本選手を徹底的にマークしろと言われて試合に入って、(パフォーマンスが)結構良くて、カードは出てしまったけど、自分の特徴であるボール奪取、運動量で取り切るところで成長を感じた」と手応えを感じていたといい、実際に強敵が待ち受ける8強以降の戦いに向けてブレイクの予感も漂わせていた。
ところが準々決勝・上田西戦では先発が続いたものの、準決勝で1回戦に続いて再びスタメン落ち。稲田は「自分たちの強みは競争が激しいこと。その中で自分は『みんなが良すぎて出られなかった』と捉えていて、入った時にやってやろうという気持ちしかなかった」と前向きに受け止めようとしたが、内心の悔しさは隠せなかったという。
それでも稲田は試合前、葛藤や悔しさを表に出すのは家族とのLINEだけに留めた。
「正直に言うと本当に悔しくて、家族がこの大会中にLINEをくれるけどそこでも『悔しい』と言った。でもチームの目標は優勝なので、悔しい顔をしてふて腐れていたらチームに良い影響をもたらせない。そこは切り替えて、気にせず、出たらやるしかないと思っていた」
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