"4度目の正直”で手繰り寄せた国立初勝利に歴戦の指揮官も「いつも負けているので……、良かったです(笑)」 呪縛を乗り越えた前橋育英は7年ぶりの日本一へと突き進む!
ゲキサカ / 2025年1月11日 20時57分
昨日の準決勝前日練習で、『国立の呪縛』について尋ねられた山田監督は「国立で勝つのは簡単じゃないですもんね。準決勝で4回か5回負けて、決勝で2回負けて、優勝は1回しかしていないので、もう本当に大変ですよ。たくさんの卒業生の涙を見てきましたから、今の子たちにも『日本一とか簡単に口にするんじゃねえよ』とか言いますけどね(笑)」と笑顔。必要以上に気負う様子もなく、いつも通りの自然体が印象的だった。
この日も決して楽な試合展開だったわけではない。前半11分に先制点を喫し、以降もなかなか攻撃のリズムを打ち出せず、前半のシュート数はゼロ。キャプテンのMF石井陽(3年)も「ちょっとうまく行かなくて、『どうしよう……』という感じでした」と最初の45分間の印象を口にしている。
ただ、指揮官の交代策がゲームを動かす。「0-1の段階で何かやらなくちゃいけないということで」、MF柴野快仁(2年)とMF白井誠也(2年)を後半開始からピッチへ送り出すと、3分、9分、14分の連続得点で一気にスコアを引っ繰り返し、終わってみれば3-1の逆転勝利。「国立1勝目に貢献できて本当に良かったです」と胸を張ったのは、2得点の活躍を見せたFW佐藤耕太(3年)。とうとう前橋育英は『国立初勝利』を力強く手繰り寄せた。
自分も果たせなかった国立での勝利をベンチから見届けた松下コーチは、「自分にとっての国立初勝利とか、そんな感慨はまったくないですよ」と笑いながら、「ただただこの選手たちと1試合でも多くやりたいですね。大会が始まってから、彼らのプレーがあまり出せていないまま今日を迎えて、苦しい展開でしたけど、ここに来てちょっとずつ彼らの力は出てきているのかなと思います」と言葉を続ける。呪縛は、解けた。頂点まではあと1つ。あとは国立競技場での“2勝目”をもぎ取るだけだ。
「やっと国立で勝てましたし、ここ最近は“ベスト8の壁”と言われ続けてきて。それがベスト4まで来れて、さらに決勝まで行けるというのは、育英としても、自分としても、凄く嬉しいことなので、ここからもう1個優勝できるように頑張りたいと思います」(石井)
『4度目の正直』を成し遂げたタイガー軍団、視界良好。7年ぶりの戴冠を国立競技場の表彰台が待っている。
(取材・文 土屋雅史)
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