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初優勝をスタンド観戦、7年後にピッチで日本一叶えた前橋育英2年生CB久保遥夢「緊張した時は松田直樹さんの旗を見て…」

ゲキサカ / 2025年1月14日 0時14分

FW山野春太に身体を入れて守るDF久保遥夢(背番号20、写真協力『高校サッカー年鑑』)

[1.13 選手権決勝 前橋育英高 1-1(PK9-8) 流通経済大柏高 国立]

 前橋育英高の伝統を背負う183cm大型CB久保遥夢(2年=前橋FC)が、試合ごとに安定感を増し続ける働きで流通経済大柏高の攻撃陣を最少失点に抑え込み、憧れの全国選手権決勝でトロフィーを掲げた。

 2017年度の初優勝時と同じ対戦カードとなった全国選手権決勝。7年前の一戦を家族とともに埼玉スタジアム2002のスタンドで観戦し、「あの試合を見たきっかけで育英に入ろうと思った」という久保はこの日、「絶対にいつか立ちたいと思っていた」決勝の大舞台に先発出場した。

 試合は前半12分にカウンターから失点し、苦しい展開となったが、同31分に追いついた後は緊迫感が続く中、集中力の高いラインコントロールと対人守備で追加失点を許さず。流経大柏の2トップは活動量が高く、特にFW山野春太(3年)の背後への抜け出しが脅威となっていたものの、そのたびに久保は鋭いカバーリングで危険なエリアへの侵入を阻んでいた。

「山野選手は前日のミーティングでも監督から『裏抜けが速くて、ちゃんとリスクマネジメントをしないといけない』と言われていたので、集中して(鈴木)陽さんと話し合って常に冷静な対応をするように心がけていた」。その結果、劣勢の中でも1-1のままPK戦に持ち込み、7年前と同じ日本一の栄冠を掴んだ。

 久保はPK戦でも国立の大観衆をどよめかせた。夏のインハイ群馬県予選準決勝・共愛学園高戦、今大会2回戦の愛工大名電高戦ではいずれもPKキッカーを務めていなかったが、この日は9人目のキッカーとして登場。独特のモーションからGKの逆を取り、「外したら終わり」のPKを見事に成功させた。

 キッカーの順番は山田耕介監督の指名で決まっており、9人目を任された久保だが、「前日練習でもPKは決めていたので外すイメージはなかった」と苦手意識はなかった様子。「あまりコースを決めていなくて、直前でキーパーが動いたのでGKから見て右に蹴りました」と冷静に振り返った。

 そんな強心臓っぷりが光った久保だが、自身初の全国決勝を迎えるにあたっては「朝起きてからずっと緊張していた」と明かす。

 それでも緊張を解くためのルーティーンはその身に刻み込んでいた。テレビ中継でも紹介されていたが、久保の憧れの選手は前橋育英高OBで元日本代表CBの故・松田直樹氏。山田監督からミーティングなどで話を聞くたびに、同じCBとして憧れを深めてきたのだという。

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