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糖尿病患者の3割が罹患する「慢性便秘」は命にかかわる病気…死亡リスク20%増との報告も

日刊ゲンダイ ヘルスケア / 2024年4月11日 9時26分

 たかが便秘、大したことない──。そう思っている人は考え方を改めた方がいい。国内外の調査研究で、便秘は寿命に関係することが明らかになり、治療が必要な病気と認識されるようになったからだ。しかも便秘になりやすい病気があり、糖尿病もそのひとつ。糖尿病専門医で「しんクリニック」(東京・蒲田)の辛浩基院長に話を聞いた。

 ◇  ◇  ◇

 便秘とは「本来体外に排出すべき糞便を十分量かつ快適に排出できない状態」を言い、便秘症とは「便秘による症状が現れ、検査や治療を必要とする状態」を言う。

「便秘が怖いのは、それが命にかかわる病気を引き起こしかねないからです。2010年に発表された20歳以上の米国人3993人を対象に15年間追跡した研究で、便秘症ありの人は、なしの人より亡くなる人が20%以上多かった。気をつけたいのは心血管疾患です。高血圧の人がトイレでいきむと脳の中の血管やそこにできた瘤が破れたり、血栓が飛んだりして脳卒中や心筋梗塞などの心血管疾患を起こすことがあります」

 宮城県大崎地区在住の40~79歳の男女4.5万人余りを対象に13.3年間の心血管系死亡と排便回数を調べた研究では、排便が「毎日ある」人に比べて、「2~3日に1度」「4日に1回以下」は心血管死亡リスクはそれぞれ、1.21倍、1.39倍多かった。

「便秘は、尿が出なくなり腎不全になって人工透析が必要になる、慢性腎臓病(CKD)の進行とのかかわりがあることもわかっています。米国退役軍人350万人を対象に便秘の有無と以降のCKDの発症について研究したところ、CKDの累積発生率は、便秘のある人はない人に比べて1.13倍だったとの報告もあります。便秘のコントロールがCKDの病状を抑えることに関係しているのです」

 そんな恐ろしい便秘は、これまで筋肉量が少なく食の細い高齢者や、それらに加えて排卵後から生理前にかけて増える黄体ホルモンが腸の働きや水分量の調節にかかわっていることから、女性に多いと考えられてきた。

■食生活と運動を見直して防ぐ

 しかし、実は糖尿病の人も便秘になりやすいことがわかっている。なぜか?

「糖尿病の3大合併症のひとつである神経障害が関係すると考えられていて、糖尿病の3割近くが便秘だといわれています。糖尿病で高血糖状態が続くと、全身の神経が障害され、運動・感覚・自律神経が障害されます。自律神経は胃や腸といった消化管の機能や運動をつかさどっていて、これが障害されると胃や小腸、大腸の消化吸収に異常が起きます。そのことで食べ物の移動のスピードが遅くなり、小腸の悪玉菌が異常増殖し、小腸の老化やがんといった病気を招きます。さらに、運動神経や感覚神経障害により、肛門や直腸の収縮・知覚の機能が低下して便が腸内にたまり、硬くなり、便意が低下することなどで便秘になってしまうのです」

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