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日々幸せを感じられないのは「過剰負荷環境」にいるからかも【科学が証明!ストレス解消法】

日刊ゲンダイ ヘルスケア / 2024年4月12日 9時26分

【科学が証明!ストレス解消法】#160

「過剰負荷環境」という言葉があります。これは、目に入るものや音や匂いといったあらゆる「情報」に囲まれている状況のことを指します。スマホが欠かせない現代人は、まさに過剰負荷環境の中で暮らしているとも言えますが、心理学者のスタンレー・ミルグラムは、人が過剰負荷環境にいるときの特徴を、次の4つにまとめています。

 ①短時間処理(他人に伝える情報を最小限に抑える)②情報の排除(重要でない情報を無視する)③責任回避(問題が起きても、人のせいにしたり、他力本願で自分から動こうとしない)④他者の利用(問題が起こったときなど、自分ではなく他人を使って連絡を取る)──。

 ①は人に道を聞かれたときなどに、必要最低限のコミュニケーションしか取らないことです。②は、道ですれ違う人など、見知らぬ人には関心を寄せないこと。③は電車で老人や妊婦さんが立っていても知らんぷりをする。④は、飲食店でオーダーを他人にやらせるなどの行為です。

 こうしたアクションをしているなら、それは過剰負荷環境にいるということです。そして、必要最低限かつ情報を排除し、自ら積極的に行動を起こさないわけですから、好奇心が育つことは控えめに言ってもないでしょう。「人に関心を覚えない」「何かをしたいと思わない」……。心が冷めてしまう理由のひとつは、過剰負荷環境にいることが挙げられるのです。

 私の生徒が、「〇〇(学生の出身地)は何もない場所だけど、暮らしている人は現状の生活に満足している。僕はそれが好きじゃない」と話していたことがありました。情報の少ない地方では、みんなそれなりに幸せそうな生活をしている。

 一方で、都会に来てみると、食べ物も情報もエンターテインメントも何でもある。それを知ってしまうと、地元は満たされないように見えてしまうというのです。

“世界一幸福度の高い国”といわれるブータン王国へ取材に行った人のコラムに、こんなことが書いてありました。道行くブータン人に、「あなたの幸せの基準は何ですか?」と尋ねると、おのおのが「それはあなたが幸せなことです」といった趣旨を返答されたそうです。

 ブータンは、自然豊かな国で、日本のように都会がたくさんあるわけではありません。情報が少ないからこそ、小さな幸せを噛みしめることができ、他者の幸せを願うことができる。

 人を不幸だと感じる気持ちは、自分と誰かを比べたときに起こります。情報があふれた環境の中では、自分と他者を比べがちになってしまいます。加えて、その情報に自分自身がおぼれて、好奇心が育たなくなってしまいます。

 今の生活から一切情報の入ってこない世界に移り住むことは不可能でしょう。ですが、過多になっている情報の量を減らすことはできるはずです。そして、小さな幸せをきちんと噛みしめることです。「今日のランチはおいしかった」「1時間かかると思っていた書類を45分で作れた」などなど噛みしめてください。それがあなたの心を冷めさせない一助になるはずです。

(堀田秀吾/明治大学教授、言語学者)

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