「利尿薬」はタイプによって注意すべき副作用が異なってくる【高齢者の正しいクスリとの付き合い方】
日刊ゲンダイ ヘルスケア / 2024年4月13日 9時26分
【高齢者の正しいクスリとの付き合い方】
「利尿薬」は体内の水のコントロールを手助けしてくれますが、クスリなので当然、注意すべき点があります。そして同じ利尿薬でも、「ナトリウム利尿」と「水利尿」では注意すべき点が少し異なってきます。
まずは、ナトリウム利尿で尿の量を増やす利尿薬の注意点です。その名の通り、こういったクスリはナトリウムの血液への再吸収を抑制することで尿中のナトリウムを増やし、利尿効果を発揮します。つまり、尿と一緒にナトリウムが体外に多く排泄されることになります。すると、当然、血液中のナトリウムの量も減ってしまうので、低ナトリウム血症に陥る可能性があります。低ナトリウム血症はある程度であれば無症状ですが、重度になると意識障害などの神経症状を来します。
また、こういった利尿薬はカリウムやカルシウムなどナトリウム以外の電解質の動きにも影響を及ぼす可能性があり、特に注意が必要なのがカリウムです。ナトリウム利尿の利尿薬の多くはカリウムも一緒に尿中に排泄します。すると、ナトリウムと同じく血液中のカリウムが減ってしまい、低カリウム血症に陥る可能性があるのです。最悪の場合、低カリウム血症は重篤な不整脈の原因となります。
一方で、カリウムを体内にためる性質のクスリもあります。この場合は逆に高カリウム血症になり、重度では心停止の原因になるため、こちらも注意が必要です。
ここでお気づきかと思いますが、カリウムに関する注意点について、真逆の性質を持つ利尿薬が存在するのです。そのため、実際はカリウムを排泄する性質を持つ利尿薬と、ため込む性質を持つ利尿薬を組み合わせて使われていることが多くあります。これにより、利尿作用を強めつつカリウムへの影響を最低限に抑えることが可能になります。ただ、どちらもナトリウム利尿なので、こうした使い方をする場合は低ナトリウム血症に対してさらに注意が必要です。
水利尿で尿の量を増やすトルバプタンについては、純粋に水だけを尿として排泄することになります。そうなると、血液の水分量が減少して濃縮されるため脱水を起こし、先ほどとは逆に高ナトリウム血症に陥る可能性があるのです。急激な高ナトリウム血症はやはり意識障害を起こすリスクがあるため、トルバプタンを開始する際には小まめに血液検査をしてナトリウム濃度を確認する必要があります。
利尿薬共通の注意点は、脱水です。特に高齢者は細胞内の水分量が減っているのでリスクが高まります。利尿薬はさまざまな疾患に用いられている重要なクスリです。副作用に注意しながら上手に付き合っていきましょう。
(東敬一朗/石川県・金沢市「浅ノ川総合病院」薬剤部主任。薬剤師)
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