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認知症を発症したら地域の活動はやめるべきでしょうか?【介護の不安は解消できる】

日刊ゲンダイ ヘルスケア / 2024年5月4日 9時26分

【介護の不安は解消できる】

「父が受け持っていた町内会長の役職を辞めさせるべきか悩んでいます。本人はまだ続けたいと話していて……」

 以前、認知症と診断されたばかりの父親と一緒に暮らす娘さんから、こんな相談を受けたことがあります。地域活動への参加は、定年退職を迎えて自宅で過ごす時間が増えた高齢者にとって、他者とのコミュニケーションを取れる場になり、閉じこもりやうつを抑制させる効果があります。中でも町内会は、近隣住民との交流だけでなく町づくりに携われ、やりがいを感じながら取り組まれている方も多いのではないでしょうか。

 実際、この娘さんのように「認知症の親が町内会で相談された内容を忘れてしまい、大きな問題になるくらいなら早めに役職から身を引いた方がよいのでは」と考えるご家族は少なくありません。ただ、認知症を発症したからといって、突然、何もかもできなくなるわけではありません。認知症の初期の段階なら、やり慣れた仕事であればある程度はこなせます。また、維持されている能力を使い続けることは、認知症の進行予防にもつながります。

 まずは、町内会の役員の方々に「父親が認知症と診断され、少しずつ物忘れの症状が目立ち始めたが、本人は町内会長を続けたいと思っている」と、相談してください。周囲の人も、これまでと違った行動や発言が見られた際に認知症によるものと知っておくと、戸惑いや混乱が少なく済み、受け入れがしやすくなります。

 この男性の場合、役員から病気に対する理解を得られ、また「今のところ表立った困りごとはなく地域の人からも厚い信頼を得ているのでぜひ続けてほしい」と、その後2年間、町内会長を続けました。

 一方で、ご自身で役職を辞退された方もいます。70代後半の男性は、地域のグラウンドゴルフチームのリーダーで、団体の会長を務めていました。認知症を発症してから約2年経ったころ、体力の低下のほかに記憶力や判断力が衰え、家族と相談していくつものチームを取り仕切るのは自分には難しいと判断し、会長の座から退いたそうです。

 ただ、これまで培ってきた地域住民との関わりを持ち続けるためにも、辞めたあとも定期的に顔は出し続けるとよいでしょう。

▽杉山孝博(すぎやま・たかひろ)1973年東京大学医学部卒業後、東大医学部付属病院で内科研修。75年に川崎幸病院に内科医として勤務し、87年からは同院で副院長を務める。98年から川崎幸病院の外来部門を独立させた川崎幸クリニックが設立され、現在まで院長を務める。81年から公益社団法人「認知症の人と家族の会」に参加し、現在は神奈川県支部の代表を務める。

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