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座る「位置」を変えるだけで、深い話ができるようになる【科学が証明!ストレス解消法】

日刊ゲンダイ ヘルスケア / 2024年5月17日 9時26分

【科学が証明!ストレス解消法】#165

 日本人は目線を合わせるのが苦手な国民だと言われています。特に、男性は異性と話すときに相手の目を見ずに話すことが多いとも。

 せっかく食事の席に来たものの、なんだかソワソワしてしまい、うまく話せず、視線が宙を泳いでしまう……そうした経験を持つ方は多いのではないでしょうか。目を見て話すことが苦手な人に覚えておいていただきたいのが、座る位置によって関係性に与える影響が変わるということです。

 たとえば、相手の正面に対面式で座ってしまうと、相手の視界の真正面に自分がいるわけですから、少し視線をずらしたくらいでは相手の視界から逃げられません。自分が相手の視界に常にいるような状況ですから、プレッシャーも感じてしまいます。元来、人間は自由でいたい生き物なので、自分の自由な範囲が少なくなると息苦しさを感じて、話しにくくなってしまうわけです。

 しかし、テーブルの隣り合った2辺、つまり相手と斜めになるように座ると、相手が正面を向いたときには、自分は相手の視界の隅っこにいる。この場合、少し目線をずらすだけで、視界に入りづらくなります。自分が自由になる範囲が広くなるため、緊張度合いが減り、余計なプレッシャーを感じずに相手と話すことができるのです。初対面で緊張してしまうようなシチュエーションでは、なるべく斜めに座るようにすると、ずいぶん話しやすくなるはずです。

 では、真横に座るという選択ですが、これはTPOを考えなければいけません。真横は、実際の物理距離も短いですから、相手のパーソナルスペースに入ることを意味します。ある程度、親密度が高い相手であれば安心感につながったりしますが、まだそれほど親密度が高くない相手だと逆効果になってしまいます。

 初めてのデートなどで映画館に行くのは、よほどその映画に2人とも関心が高いなどの理由がない限り、なかなかチャレンジングなことだと言えるでしょう。

 半面、真横は視界から逃れられるメリットもあります。ある程度の親密度を築けているならば、視線を感じない(=緊張度合いが減る)わけですから、さらに良好な関係を育む追い風になる可能性が高くなります。

 隣に座ると、空間的に自分の縄張りの内側に入ってくることになるため、おのずと心の縄張りの内側に入っていくことになります。内側にいる人には心を許して、ついつい普段は他の人には話さない話などもオープンにしてしまいます。こちらも自己開示すれば、返報性が働き、打ち解け合うスピードも速くなる、そんな効果が期待できます。

 このように、そのときの関係に応じて座る場所を意識することは、とても大切なことです。相手との心の距離を縮めたいからと、近い距離で話すことは、相手にとってプレッシャーを与えかねない。物理的な距離は、心の距離ともある程度比例するのです。

 これは対異性にだけ言えることではありません。上司と部下の関係性にも言えますし、何か大事な話をする際にも言えます。どこに座るかで、相手に与える印象は変わるのです。

(堀田秀吾/明治大学教授、言語学者)

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