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親が身につけるべき「正しい話の聞き方・伝え方」10原則~⑧⑨【「不登校」「ひきこもり」を考える】

日刊ゲンダイ ヘルスケア / 2024年5月23日 9時26分

 正論なんて口にして、その場でお子さんの言論封鎖をしたところで、親が「なにかやっている」という安心感を得るための自己満足でしかなく、そんな話でいくら説得されてもお子さんの死にたい気持ちは消えません。

 そもそも、「『死にたい』という訴えは『死にたくない』」という言葉もあるように、本気で死ぬと覚悟した人は誰にも何も言わずに実行してしまうとも言われています。「死にたい」という訴えは苦しさを訴えているSOSで、何のSOSかと言えば、一次感情を感じられない苦しさで、希死念慮という二次反応への回避を表現しているのです。だから、そこに「死にたいなんて言うな」などと“臭いものに蓋”をするだけでは、親の視界から訴えは消えたとしても、「『死にたい』と表現する逃げ道すら塞がれてしまった。かといって一次感情に向き合えない」お子さんは、さらに極端で危険な方向に捌け口を求める--。つまり、本当に自死に追い込みかねない危険性すらあるのだと認識しましょう。

 実際、自死行動では、感情の感度が低下する「解離」、つまり感情不全との関連も報告されています。だから、気の済むまで傾聴・共感をすることこそが本人のために望ましい関わりと言えるのです。一方で、「練炭を買い込んでいる」「部屋から遺書の下書きが見つかった」といった、自死に直接つながるような危険な兆候や行動が見られたら、「本気で死ぬ気はないんだ」と高を括るのではなく、主治医や警察、保健所や精神保険福祉センターといった行政機関にもリスクマネジメントとして相談しましょう。どちらであっても、共感なくただ正論を説くことが有害無益であることには変わりありません。(つづく)

▽最上悠(もがみ・ゆう) 精神科医、医学博士。うつ、不安、依存症などに多くの臨床経験を持つ。英国NHS家族療法の日本初の公認指導者資格取得者で、PTSDから高血圧にまで実証される「感情日記」提唱者として知られる。著書に「8050親の『傾聴』が子供を救う」(マキノ出版)「日記を書くと血圧が下がる 体と心が健康になる『感情日記』のつけ方」(CCCメディアハウス)などがある。

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