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「良い親」ではなく「分かり合える親」を目指せば事態は好転する【「不登校」「ひきこもり」を考える】

日刊ゲンダイ ヘルスケア / 2024年5月25日 9時26分

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写真はイメージ(C)iStock

【「不登校」「ひきこもり」を考える】#26

 親が「早く立ち直って勉強して欲しい」「自立して欲しい」と愛情がゆえに思っていたとしても、子どもにも子どもなりの理由、子どもなりのペースがあります。子どもは自分自身でも自分の心がわからなくなっていることも多く、安心できる親子関係が生まれないと自分の心を感じる余裕すら生まれないという方も少なくありません。

 慌ててはいけません。かといって、いつまでものんびり手をこまねいているというわけにもいきません。不登校やひきこもりの子を持つ親は、すぐに効率的に結果を出せる「良い親になる」のではなく、時間をかけて「分かり合える親」を目指すことが大切なのです。

 じつは、「親の傾聴・共感なんて時代遅れで非科学的!どんなに病理が重くても不要です」などと、素人が聞いても首をかしげるようなことを主張される専門家も業界には少なくありません。こういう場合、専門家自身が自らの感情不全を克服できておらず、それ自体を扱うことに苦痛を生じるために理論武装で回避しているという方もおられるので、その解釈には要注意です。

 なお、「傾聴・共感」のやり方がわからない場合には、「家族」や「親子関係」の大切さを謳う医療機関やカウンセリング、その他の家族会などの自助グループや、信頼できる事業体などへの相談を強くおすすめします。そこで、さまざまな専門家、当事者や当事者家族との関わりなどを通じて多角的な視点を得ることが実践的な正しい方法を学ぶことにつながり、かつ親自身の心理的負担も軽くできることで、無理のない働きかけにつなげていくことが期待できるでしょう。

 最後に、こんな「傾聴・共感」で不登校やひきこもり、ひいては精神疾患が回復するのか? と未だに半信半疑な親御さんに言いたいのは、「たとえそれで不登校やひきこもり、精神疾患に何ひとつ改善が得られなかったとしても、何年も何十年もお子さんがひとりで悩み苦しんでいた心の内を親が理解してあげられるだけでも十分な価値はあるのではないか」ということです。

 でも安心してください。それが本当にできたのならば、不登校やひきこもり、精神疾患は必ずや今よりはいい方向に向かうこと請け合いなのですから。(おわり)

▽最上悠(もがみ・ゆう) 精神科医、医学博士。うつ、不安、依存症などに多くの臨床経験を持つ。英国NHS家族療法の日本初の公認指導者資格取得者で、PTSDから高血圧にまで実証される「感情日記」提唱者として知られる。著書に「8050親の『傾聴』が子供を救う」(マキノ出版)「日記を書くと血圧が下がる 体と心が健康になる『感情日記』のつけ方」(CCCメディアハウス)などがある。

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