ここはどこ?私は誰?の状態でした…歌手の松原愛さんもやもや病を振り返る
日刊ゲンダイ ヘルスケア / 2024年6月24日 9時26分
治療は開頭手術。「脳外科一丸となってやります」と言ってくださり、あまり心配せずに手術に向かうことができました。医師4人のグループで、手術は5時間弱かかったと聞いています。私の体感は10分ぐらいでしたけれど(笑)。あとから聞いた話では、広範囲で少なくなっていた血流を増やすためにRDPを3カ所において、広い範囲で血管が増えてくるようにしたとのことでした。
腫れが引くまでしばらく頭の上には傷口から染み出る髄液がたまる入れ物が付いていました。その時にお見舞いに来てくれた人は、そんな私の姿が強烈だったようで、いまだに「大丈夫か?」と心配してくれます(笑)。
手術から2年後に新曲を発表
術後、しばらくはぼーっとしていたと思います。「ここはどこ? 私は誰?」の状態でした。記憶力を回復させるために毎日同じ物語を聞いて問いに答える試験が繰り返されました。左手を使って粘土で動物を作ったり、小豆をお皿からお皿に移動させたり……。根気のいる毎日でしたが、1カ月後、それらの試験で100点を取り、ようやく退院になりました。
退院後のリハビリはたった1週間だけでした。あとは生活の中で自然に回復してきたのです。左脚は引きずっていましたし、階段は上れなかったし、外で迷子になったこともありました。でも、手術から2年後には新曲を出しました。聞くたび、歌うたびに脳が活性化するように、活性化するテンポ(1分間に116回のリズム)で曲を作っていただいたのです。それも回復に役立ったと信じています。ただ記憶力は少し悪くなりました。歌詞がよく飛びます。これは後遺症じゃなくて年齢でしょうか(笑)。
手術が怖くて薬でもやもや病の治療をしている人もいるようですが、私は手術ができたことを幸せに思っています。脳梗塞の手術をすると、そのショックで再び脳梗塞を起こしやすいそうですが、私は再入院することもなく、「本当に半身不随だったの?」と疑われるくらいまで回復できました。主治医のおかげです。現代では開頭手術ではなく、頭蓋骨に小さな穴を開けるだけで行う手術もあるようなので、昔より確実に技術が進歩していると思われます。
薬は20年間、処方されているものを飲み続けています。血圧降下剤と呉茱萸湯という漢方薬とビタミン剤。ずっとこれ。
変わったのは、お酒を飲まなくなったこと。以前はお酒が大好きでした。でも、脳梗塞の原因になると知ってきっぱりやめられました。
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