1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. ライフ
  4. ライフ総合

ロイヤルHDのかつての主力“外食事業”の売り上げ比率は半分以下に

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年4月4日 9時26分

写真

左からロイヤルHDの菊地唯夫会長と双日の藤本昌義社長(当時)/(C)共同通信社

【企業深層研究】ロイヤルHD(下)

 1970年代から80年代にかけて外食産業の主役だったファミリーレストラン。しかし90年代以降はバブル崩壊に加え画一メニューが多様性の時代に合わなくなったこともあり、淘汰が進んだ。

 その中にあっても比較的好調だったのがガストとサイゼリヤ。いずれも低価格を武器にしており、デフレ時代の消費者に受け入れられた。

 一方、苦戦が続いたのがロイヤルホールディングス(HD)運営のロイヤルホスト(ロイホ)。もともとファミレスの中では客単価が高かったが、低価格志向に合わせて価格を下げたところ、味とサービスが低下、客は離れていった。

 しかも2011年には会長、前会長が対立し、両者ともに取締役を辞任するというお家騒動まで勃発した。

■菊地会長が「強みと弱み」を徹底分析

 このどん底の状態から会社を立て直したのが、その前年に社長に就任し、現在は会長を務める菊地唯夫氏だった。

 菊地氏は早稲田大学政経学部を卒業して日本債券信用銀行(現あおぞら銀行)に入行。日債銀が経営破綻したのちにドイツ証券に転じた金融マン。外食産業とは無縁だったが、第三者的立場からロイヤルHDの強みと弱みを分析していく。その上で組み立てたのが、ブランド力の向上と成長戦略だった。

 ブランド力を高めるために、徹底的にロイホを磨き上げた。しばらくは新店舗を出さずに、既存店の改修やメニュー開発に予算を投入。それにより居心地のよい店舗と、オニオングラタンスープやアンガス牛ステーキなど、専門店に負けないメニューが出来上がった。

 しかしそれだけでは成長できない。そこでコントラクト事業とホテル事業に力を入れた。コントラクト事業とは、空港ターミナルや高速道路のサービスエリアなどでの飲食サービスのことだ。

 成長領域は順調に拡大していき、菊地氏が社長に就任した当時は8割だった外食事業の比率が、今では半分以下になっている。

 誤算だったのは、「すべて人流に伴うビジネスだった」(菊地氏)ことだ。20年からのコロナ禍で人の動きは完全にストップ。飲食や旅行の市場が消滅した。そのためロイヤルHDの業績も劇的に悪化、20年12月期、21年12月期と2期連続で赤字を計上した。その結果、財務が大幅に悪化、50%あった自己資本比率は20%にまで低下した。

 そこで総合商社・双日の資本を受け入れることとし、21年3月に第三者割当で100億円、新株予約権で78億円を調達した。今では双日はロイヤルHD株の19.9%を持つ筆頭株主だ。

 資本提携相手に双日を選んだのには理由がある。日本の人口は減り続けており、外食市場も縮小する。その中で成長するには海外に出るしかない。そこで商社である。

 すでにロイヤルHDでは、年内にロイホ初の海外店舗をシンガポールにオープンすると発表済み。さらには傘下の天丼てんやの海外出店も加速させる。

 コロナ禍でロイヤルHDは大きな傷を負った。それでも転んでもただでは起きずに次の成長へのステップにするところに今のロイヤルHDの強さがある。

(真保紀一郎/経済ジャーナリスト)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください