岸田自民「政治資金規正法」改正案は“抜け穴”だらけのザル…専門家「悪質な論点ずらし」とバッサリ
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年4月24日 11時3分
自民の作業部会で挨拶する鈴木馨祐座長(中央)/(C)共同通信社
自民党は組織的な裏金事件をみじんも反省していない。26日に初開催される衆院政治改革特別委員会が迫る中、「ザル法」と呼ばれる政治資金規正法改正をめぐる独自案を23日、ようやく取りまとめた。これで主要各党の案が出そろった形だが、自民案は抜け穴たっぷり。
岸田首相はこのところ「規正法改正をこの国会会期中に実現する」と力んでいるが、フタを開けてみればやっぱりハリボテだ。これで政治改革なんてふざけるにもほどがある。
自民案はこうだ。政治資金収支報告書の提出時に国会議員による「確認書」添付を義務付け、不記載・虚偽記載への監督責任を明記。会計責任者が収支報告書への不記載などで処罰された場合の罰則規定は、議員が必要事項をチェックせずに確認書を交付したケースに限定した。厳罰化からはほど遠く、大甘だ。一方、不記載の相当額を没収し、国に納付させる規定を設けた。
法大大学院教授の白鳥浩氏(現代政治分析)はこう指摘する。
「法的責任を最大限回避し、金銭的責任を取るポーズでお茶を濁す。自民党案は盗品に色を付けて返せばいいだろう、と言っているようなもので、議論のたたき台にもなりません。悪質な論点ずらしです。会計責任者が有罪になった場合、議員が自動失職する連座制を導入しなければ、再発防止策にはなり得ない。岸田首相は会長を務めていた宏池会の元会計責任者が有罪になったにもかかわらず、自身にはおとがめなし。規正法改正案も“抜け道”だらけ。ここまで世論の怒りに鈍感なのは、国民を代表する首相ではなく、自民党員の首相だからなのでしょう」
■自民作業部会の座長は“骨抜き”の自覚をポロリ
白鳥氏は国会から独立した第三者機関による外部監査の導入、収支報告書のデジタル化のほか、政党交付金の減額や不交付などのペナルティーも必須だとする。調査研究広報滞在費(旧文通費)の透明化もしかりだ。連座制導入も含め、このあたりは野党も要求していて、政治資金パーティーや企業・団体献金、政治活動費の禁止も求めている。
規正法改正をめぐる自民の作業部会座長の鈴木馨祐衆院議員はきのうの会合後、「厳密な『連座制』ではないが、『連座制』といわれるものには近いと思う」と発言。骨抜きの自覚をポロリした。
自民の裏金問題は、派閥の政治資金パーティーの販売ノルマ超過分の還流にとどまらず、政治団体間で資金を移動させて使途公開率を引き下げるマネロン疑惑もくすぶっている。金権腐敗のド真ん中にいる連中が政治改革なんて片腹痛い。どだい無理な話なのだ。
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