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1ドル=160円台突入を指をくわえて傍観か…34年ぶり円安水準で問われる財務省の姿勢と曖昧説明

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年5月1日 9時26分

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どこまで進む?(C)共同通信社

 アジア市場では1990年4月以来、34年ぶりの円安水準となる1ドル=160円台に急落した29日の東京外国為替市場の円相場。午後になって154円台へと約6円も急反発したことから、市場では政府、日銀が為替介入に踏み切ったとの観測が広がった。

 一夜明けた30日午前の円相場は、1ドル=156円台前半に上昇したものの、神経質な動きが続いている。円相場は今年1月初旬時点で1ドル=140円台だったから、この4カ月で約20円も円安が進んだわけだ。

 ゴールデンウィークを利用して海外旅行に出かける観光客からは「食料を持参します」「現地では何も買わない」といった、ため息交じりの声も漏れているが、SNS上で上がり始めたのが《結局、財務省は何をやっていたのか》《財務省は傍観していただけではないのか》といった投稿だ。

 アベノミクスによる異次元金融緩和を続けてきた日本と、緩和策を徐々に修正し、利上げを行ってきた米国。ここ数年の日米の金利差は広がるばかりで、円安ドル高の傾向が続いていたのは周知の事実だろう。円安進行による物価高の影響を懸念する声も強まり、国会質疑では緩和策の見直しや為替に関する政府の姿勢が問われてきたのだが、政府や財務省が繰り返してきたのが「高い緊張感」という曖昧な言葉だった。

■「高い緊張感を持って注視し、適切に対応」してきたのか?

「政府といたしましては、引き続き、為替市場の動向、高い緊張感を持って見守ってまいりたい、注視してまいりたいと考えております」(鈴木俊一財務大臣=2024年2月22日の衆院予算委員会)

「私どもとしまして、引き続き、為替市場の動向を高い緊張感を持って注視をするとともに、必要な場合には適切な対応を取る、こういう考え方で引き続き臨んでまいりたいと考えてございます」(三村淳・財務省国際局長=2022年11月18日の衆院財務金融委員会)

「為替市場の動向を高い緊張感を持って注視するとともに、過度な変動に対しては適切な対応を取りたい」(鈴木俊一財務大臣=2022年11月2日の衆院財務金融委員会)

「為替市場の動向に高い緊張感を持って注視しつつ、過度なこの変動に対しては適切に対応するということを申し上げさせていただいております」(岸田文雄首相=2022年10月24日の参院予算委員会)

「財務省といたしましては、引き続き、為替市場の動向を高い緊張感を持って注視するとともに…」(土谷晃浩・財務省国際局次長=2022年9月30日の衆院経済産業委員会)

 米国の動きもあるとはいえ、財務省が答弁通り、「高い緊張感を持って注視し、適切に対応」してきたのであれば、さすがに34年ぶりの円安水準とはならないのではないか。これではネット上で、《財務省は傍観していただけ》《財務省はむしろ円安を容認していた》と指摘する声が出るのも無理はない。

 ベストセラーとなった経済アナリストの森永卓郎氏(66)の著書「ザイム真理教--それは信者8000万人の巨大カルト」(フォレスト出版)は、低迷を続ける日本経済の背景として財務省の責任を説いていたが、そろそろ「最強官庁」「エリート集団」といった見方は改めた方がいいかもしれない。

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