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客観性と愛情を両立 絶望を経て培ったノブコブ徳井の諦観を含んだ批評眼【今週グサッときた名言珍言】

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年5月12日 9時26分

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平成ノブシコブシの徳井健太(C)日刊ゲンダイ

【今週グサッときた名言珍言】

「いまだに誰かに頼るっていうのが、できないかもしれない」
 (徳井健太/テレビ東京系「日本怪奇ルポルタージュ」5月2日放送)

 ◇  ◇  ◇

 その冷静な批評眼を武器に、愛情たっぷりにバラエティー番組や芸人たちを語る「分析のプロ」として名高い平成ノブシコブシの徳井健太(43)。「敗北からの芸人論」(新潮社)という著書も刊行し、自身のYouTubeチャンネル「徳井の考察」も好評だった。

 そんな彼は、実は中学生の頃から母が統合失調症を患ったことから、家事全般や妹の世話などを担った、いわゆる「ヤングケアラー」だった。だが、「気がついたら当たり前のことだったので、大変だとは思ってない」とも言う。そして、その経験が生んだ自分の性分について語った言葉を今週は取り上げたい。

 徳井のこれまでの言動を知っていると、それが決して強がりなどでないことが分かるだろう。

 冒頭の番組で「このまま、この家にいるってことは、俺の人生が終わるってことだと思った」と言った徳井は高卒後、北海道から上京。この頃、徳井は音楽ではeastern youthに、お笑いではダウンタウンに憧れていた。「ダウンタウンを超えるか、eastern youthを超えるか。18歳の少年は思ったんです。いろいろ考えた結果、ダウンタウンの方が超えられるんじゃねえかなって」(フジテレビ系「酒のツマミになる話」2021年6月4日)と考え、吉本の養成所NSCに入学した。

 しかし、入学して間もなくの夏ごろ、のちにピースを組む2人が桁違いに面白いことに気づき、早々に「同じ時期にお笑いを始めて、もうこんなに面白いやつらがいるのか」と才能の差を感じ、「ダウンタウンになれない絶望」を味わった(「敗北からの芸人論」)。

 そんな徳井が注目されたきっかけのひとつは、その“奇行”だった。10~11年に放送された「㈱世界衝撃映像社」(フジテレビ系)の部族ロケで、徳井は食用の幼虫を、相方の吉村がセオリー通り嫌がるリアクションをする横で、無表情のまま、スナック菓子を食べるようにボリボリと食べたり、さらっと5年前に結婚していたことを明かしたりした。相方にも言っていなかったのだ(その後の離婚、再婚も)。どこか、感情の起伏がない不可解な言動は異質だった。

 彼は前出の自著で「良いことだろうと悪いことだろうと、世の中のこと全ては真に受けちゃいけない」とつづっている。絶望を経て培った諦観を含んだ人生観があるから、一歩引いて芸人やバラエティー番組を見て、客観性と愛情が両立した分析ができるに違いない。

(てれびのスキマ 戸部田誠/ライタ―)

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