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白井貴子さんが語るモントリオール五輪女子バレー「金メダル」と“ひかり攻撃”誕生秘話

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年7月24日 9時26分

 彼女とは2段トスから打つスパイクをやりました。でも、高く上げなければならない2段トスは彼女には難しかった。私もジャンプのタイミングが掴めなくてね。私のプレーを見た先生は「借りてきた猫みたいだ」と怒りだしてね。頭にきた私は先生と1年間口を利かなかったほどです。そんな私に先生は「俺はコートの上で死にたいんだ」なんて言う。私は「どうぞ勝手に。なんで私が死ななきゃならないのか」なんて言い返して。

■「ひかり攻撃」は「晩のおかず」を考えながら、背中を反らせてアタック

 そんな中で1年かけて完成させたのが平行トスからスパイクを打つ「ひかり攻撃」。Bクイックはセッターから2メートルくらいのトスを打つ。ひかり攻撃はBを飛ばしてセッターの位置から6メートルくらい離れたアタッカーが平行トスを打つ。こだま号じゃなくてひかり号。平行トスを空中で待ってから打つので難しい。

 先生には「白井、滞空力って何だ?」と聞かれました。ジャンプ力はわかるけど、滞空力は? それで「今日の晩ごはんのおかずは?」と考える時間があるのは! と言ったら、先生は「それ、それ」って。それには後ろにひねる筋力が必要。背筋や腹筋を鍛え、後ろに反って跳んだまま止まって、タイミングを合わせて打つんだよと。それができれば0.1秒くらい滞空できる……。それからは筋トレの毎日です。

 朝5時半に起きて1時間ランニング、練習終わりの夕方5時から1時間のウエート……。ご飯には麦を入れ、パンなら黒パン、砂糖もダメ、肉は100グラム食べたら野菜を1キロ食べなければいけないので禁止。それを1年やって体をつくり、ひかり攻撃が完成しました。

■メンバーを見た時とタイムアウトの時に勝利を確信

 日本はグループリーグを1位、セミファイナルラウンドで韓国を3-0で下し、ファイナルラウンドの優勝決定戦をソ連と戦った。

 山田先生が目指したのはひかり攻撃を中心にしたコンビバレーや専門チームをつくっての徹底したデータ分析です。

 仮想ソ連の練習は1年かけてやりました。ソ連は本番で隠し玉を出してくることで有名でした。エースがケガしているといっていたのにピンピンして出てきたとか、一度も見たことがない選手が出てきたり。そのために語学が堪能な通訳をつけ、ソ連の監督が何を言っているかをメモするスパイ大作戦をやった。向こうの監督が言ってたことを聞いたら「試合が終わったら何を食べるか」とかいい加減なことを言っていたらしい。

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