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角川歴彦氏(KADOKAWA前会長)が激白 人質司法違憲訴訟への決意、獄中で考えたこと

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年7月29日 9時26分

 宿命って言葉では説明がつきませんね。

 ──そんな簡単な言葉じゃない?

 奇麗な話じゃありません。一生懸命あがいて、あがいて、あがきたいんですよ。我一人の生存権をかけて。

あがいてあがきたいんですよ、生存権のために

 ──「らい予防法」の違憲国家賠償請求訴訟で勝った徳田靖之弁護士にも会われたそうですね。

 感動しました。いきなり、角川さん、これは勝たなきゃいけない。理屈じゃないんだ、人の心の琴線で勝つんだ、とおっしゃった。

 ──向こうは法体系を固めている。魂を揺さぶる訴訟にしなければいけないということですね。

 この国では人権無視の人質司法がいわば、システムとなっているんですよ。拘置所、検察、裁判所が一体となっている。拘置所では本を読み漁り、絶望の中で私はそのことに気づいた。

 ──憲法34条(正当な理由がなければ拘禁されない)、38条(拷問もしくは脅迫による自白または不当に長く勾留された後の自白は、これを証拠とすることができない)があるのに、検察のシナリオに沿った自白をしなければ保釈されない。やがて追い詰められ、虚偽の自白をして出してもらおうかと考えるようになる?

 日本は戦後、経済発展し、資本主義が育ったことで、民主主義も育ったと誤解している。日本は人権後進国です。長い思想の歴史で日本人は人権という概念を真剣に考えたことがあるのだろうか。私はないと思いますよ。

 ──憲法が保障する人権は形骸化している?

 すべてに公共の福祉に反しない限り、という条件が付くんです。この公共の福祉というのがクセモノ、詭弁で、そこに国家の意志が入ってくる。マスコミも放送法や通信法で“公共の福祉に反しない限り”と縛られている。そんなマスコミが検察のリークに乗っかり、押し寄せてくる。たまらず、記者会見に応じたら、証拠隠滅や逃亡の恐れがあるとされ、逮捕された。その瞬間から、罪人として報じられる。拘置所では番号で呼ばれ、ついたてもなく、廊下から丸見えのトイレで自尊心はズタズタにされました。

 ──既決囚が入る刑務所は違うんですよね。

 TBSの報道特集(2024年3月2日放送)が女性刑務所の受刑者の生活を報じていましたが、驚きました。一定の自由の制限はあるものの、テレビがある明るい独居房や集団生活で元気に既決囚の受刑者が過ごしている。もちろん、受刑者の心中はわかりませんが、私がいた拘置所とはまるで違います。拘置所は人権を剥奪し、人間の尊厳を踏みにじり、罪人であると洗脳し、自白を強要させるためのシステムなんですよ。

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