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「過度な除菌」がキレやすい子供を増やすワケ…急な疲れや痛み、不調も腸内細菌が大きく関係

日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年9月21日 14時3分

「過度な除菌」がキレやすい子供を増やすワケ…急な疲れや痛み、不調も腸内細菌が大きく関係

除菌が及ぼす人への影響とは……(C)日刊ゲンダイ

 疲労や衰えを強く感じるようになったり、病や不調、痛みが急に増えたり悪化したりしている人の体内では、一般的なものとは一線を画した急激な老化が起きているといいます。

 C型肝炎の輸血による感染の撲滅に寄与し、世界的な評価を得た医学博士の飯沼一茂さんは、それを「倍速老化」と名づけ、その原因を免疫の暴走と明らかにしました。今後、医学の主役となる免疫の最新知見をまとめた新著『倍速老化』(サンマーク出版)では、この免疫の暴走を止めるカギの一つが腸内細菌にあると指摘しています。

 飯沼さんによると、腸内細菌は、私たちの心身に思いのほか大きな影響を与えているそう。本書より一部抜粋、再構成してお届けします。

■免疫細胞やホルモンは腸の中でもつくられる

 じつは腸内細菌は、性格にまで影響を及ぼしています。

 無菌室と普通の環境で育てたマウスを比較した実験です。無菌室のマウスは体に菌を取り込む機会がないため、腸内細菌がまったく育っていませんでした。

 当然、このマウスには、免疫の暴走から体を守ってくれる制御性T細胞も育っていません。一方、普通の環境で飼われたマウスは細菌やウイルスを自然に取り込むため、制御性T細胞がきちんとつくられていました。

 無菌室で育ったマウスはキレやすい、という実験結果もあります。腸内細菌には精神を安定させるホルモンをつくってくれるものもいますが、無菌状態ではそれらが得られないため精神が安定しないのでしょう。比較対象とされた普通の環境で飼われたマウスの性格は穏やかでした。驚くことに、この穏やかなマウスの便を無菌室のマウスに投与すると、性格が穏やかになったというのです。

 マウスの例は極端な環境でのものですが、実際に人間も、あまりにきれいすぎる環境にいると制御性T細胞が育たなくなるため、問題が生じやすくなることが考えられます。いま世界中の、特に先進国と呼ばれる国々では、多くの人がこの状態で生きています。私が心配しているのは、日本においても、ここ30年ほどでキレやすい子ども、発達障害やうつ、心身症などを発症する子どもが大幅に増えていることです。

 もちろんマウスの実験をそのまま人間に当てはめることはできませんが、こうした子どもたちの変化は、周辺環境がきれいになりすぎたことと無関係ではないように思います。やはり行きすぎた除菌・殺菌傾向は考え直すべきではないでしょうか。

■腸内環境がすこぶるいい人の職業とは?

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