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【新春ビッグ対談】連載33年格闘漫画「刃牙」シリーズ板垣恵介×大宅賞作家・増田俊也

日刊ゲンダイDIGITAL / 2025年1月2日 9時26分

増田 板垣さんは僕より8歳上の67歳なのに信じられないほどパワフルですよね。前に「なんでそんなに元気なんですか?」と秘訣を聞いたら「毎日抜けば?」と言って。そうかと思って僕も実践してみた。そうしたら1週間で疲れきり、1カ月後には廃人のようになった(笑)。僕にはできない、板垣さんはやっぱり凄い(笑)。

板垣 冗談を真に受けるなよ(笑)。でもね、脳でも筋肉でも下半身でも、使わないと衰えるというのが俺の持論。「廃用性萎縮」って医学用語があるように、脳も筋肉も使わなければ、機能は低下する。これは誰でも実感できること。正しい。

 板垣氏が漫画家としてデビューしたのは、自衛隊退職8年後の32歳。新聞社にいた増田氏の作家デビューは40歳。ともに「遅咲き」という共通点がある。苦労しただけに、「野心」も生きる上での 原動力になった。

板垣 最近の若い人は野心とか欲を口にしないね。

増田 目立ちたくないんでしょうね。

板垣 昔から、漫画家にも「好きな作品を描いて、そこそこ食えればいい」という人がいた。「棒ほど願って針ほどかなう」って言葉があるけど、そこそこじゃダメなんだよ。大ヒットを狙っても外すのが当たり前。「そこそこ……」なんて、ヒットより難しい。俺は恥知らずなほど野心があった。

増田 そういえばご家族とのエピソードがありますよね。板垣さんが漫画を描いている時に……。

板垣 デビュー前に狭いアパートの部屋で俺が漫画を描いているとね、のぞきに来た子供たちに妻が「お父さんは勉強中だから邪魔しちゃダメよ」なんて言っている。それがデビューしたら「お父さんはお仕事中だからダメ」と自然に変わった。俺、それがすげえうれしくて。

増田 奥さまをインタビュアーに見立てて、という話も聞きました。

板垣 それもデビュー前。机に向かう前、気力がイマイチ……。そこで、妻を起こして。新聞社のインタビュアーを演じてもらって「成功の秘訣は?」「どうやって成し遂げたんですか?」との質問に答えて奮い立たせたりした。かなり恥ずかしい。

「今も昔もとにかく褒められ続けたい」(板垣)

 板垣氏は「刃牙」シリーズ4作目の「刃牙道」で、天下の剣豪・宮本武蔵を現代に蘇らせている。その武蔵が闘う理由を問われ、「誉め讃えられたいのだ!!!」と叫ぶシーンがある。

板垣 活力ということでいえば、俺は10年以上前から言っているのは、今も昔もとにかく褒められ続けたい。「刃牙道」で武蔵に言わせたのはまさに俺自身の思い。

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