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【新春ビッグ対談】連載33年格闘漫画「刃牙」シリーズ板垣恵介×大宅賞作家・増田俊也

日刊ゲンダイDIGITAL / 2025年1月2日 9時26分

増田 板垣さんが褒められて一番うれしいのは誰ですか?奥さま?

板垣 奥さんは、褒めてはくれない。感謝はされる。それはうれしい。

増田 読者に褒められるのが一番?

板垣 それはある。読者の反応、Xとかは見るようにしている。聞こえのいいやつだけを担当編集に集めてもらって、それは見る。褒められたい、褒められるっていうのは改めて燃料ですよ。一番うれしいのはって聞かれたら……、師匠かな。亡くなってしまったけど。

増田 小池先生は褒めてくださることはあったんですか。

板垣 なかったね。逆に20年近く前、塾頭の古希の祝いで塾のOBが集まった時、塾頭に「今現在、何本書いてるかじゃなくて、今まさに売れるものを書いて欲しい。70歳でも売れる作品を書けるんだって、お手本を見せて欲しい。そうすれば、俺たちがこれから進むのが楽になる」って言ったことがある。

増田 でも、もう生み出せなかったと。

板垣 ダメだった。「範馬刃牙」で刃牙と勇次郎の親子喧嘩を描いた時、塾頭が「結末についてアドバイスをしたかったけど、言っちゃうとおまえが影響されるからしなかった」と言われてね。

増田 小池先生のアイデアはどんなものだったんですか?

板垣 聞いたけど、お話にならなかった。

増田 さっきの廃用性萎縮の話じゃないですが、やっぱり生産し続けないと衰える。

板垣 衰えた。ひどく衰えてた。

増田 全盛期は今の板垣さんから見ても凄かったですか?

板垣 「子連れ狼」はもちろん「首斬り朝」「ぶれいボーイ」……そりゃ、凄かった。毎回、読み切りでよくここまでまとめ上げるなという力を持っていた。それでも、やり続けなければ衰える。

増田 その時の板垣さんの思いはやはり寂しい感じでしたか? 板垣さんはよく僕に言いますよね、「塾頭がいなければ板垣恵介は生まれなかった」と。

板垣 それは間違いない。感謝しているし、尊敬している。衰えを見たくはなかったけど、塾頭の娘さんは「小池一夫は10年長く書きすぎた」という言い方をしてた。

「やっぱり板垣さんは絵描きなんだなあと思った」(増田)

増田 2009年の大晦日、さいたまスーパーアリーナのリングサイドで一緒に総合格闘技の試合を見たことは覚えていますか?

板垣 柔道(北京五輪金メダリスト)の石井慧のMMAプロデビュー戦ね。

増田 あの時、板垣さんが何げなく、「あの人、さっきからずっと描いてるよ」と言ったんです。見ると、ちょっと離れたところで、スケッチブックを手に試合を描いている人がいた。当然、僕は気づいてもいない。「やっぱり板垣さんは絵描きなんだなあ」と思った。僕は子供の頃から小説家になりたかったんですけど、板垣さんも絵は子供の頃から?

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