ドラマの撮影中は紙パンツを…俳優・橋爪淳さん大腸がんとの闘いを語る
日刊ゲンダイDIGITAL / 2025年1月14日 9時26分
橋爪淳さん(本人提供)
【独白 愉快な“病人”たち】
橋爪淳さん(俳優/64歳)
=大腸がん
◇ ◇ ◇
家族や仲間から「いい加減に病院へ行け」って言われて、行ったらけっこう大変なことになったっていう話です。
「大腸がん」のステージ3で、切除手術を受けたのは昨年2月です。下血が始まったのは、その1年前ぐらいからでした。トイレに1日10回ぐらい行きますし、体重は徐々に落ちていくし、家族の中に大腸がんになった人間がいたので周囲も心配するし……。
自分では「それならそれで寿命だから、このままでいいかな」って思ったりして。でも、それは手術に対する恐怖心がすごく強かったゆえの言い訳でした。
一昨年11月ごろ、NHK大河ドラマ「光る君へ」の撮影中には、血便が出てしまうので紙パンツを常用していました。だいぶ具合が悪く、みなさんに支えてもらいながらの撮影でした。しかも同じ時期、両腕の辺りが痛くなり、心臓がギュッと圧迫される症状も出始めたのです。
大河の撮影が終わって、2月の初めにとうとう受診して内視鏡検査を受けてみると、一瞬で検査が終了しました。肛門すぐのところに5センチ大の腫瘍があって、内視鏡が入っていかなかったのです。
その際、心臓の痛みを訴えたところ、大腸の腫瘍が影響して「狭心症」の症状が出ることがあるんですって。狭心症の発作が起こったとき「ニトロ」の舌下錠を服用したら治ったので、「間違いなく狭心症ですね」ってことでした(笑)。
手術はダヴィンチ(腹腔鏡手術支援ロボット)で行われました。お腹に5カ所穴を開けて、そこからアームを入れ腫瘍を切り取るんですが、5センチのがんとなると付近に散っている可能性もあるとのことで、腫瘍の前後を含めて腸を20センチも切りました。そうなると、穴からは取り出せないので下腹部を切開して摘出したそうです。肛門付近だったので、人工肛門になるかもしれないと聞いていましたが、7時間に及ぶ慎重な手術でギリギリ回避していただきました。
麻酔から目覚めたあと、つらかったのはめまいです。目を開けても閉じてもグルグルグルグル回転木馬に乗っているみたいですごいんです。痛みは、痛み止めの薬で、ある程度抑えられたのですが、めまいはどうしようもなくて5日間は苦しみました。「もしかして脳に問題が?」と検査したMRIでも異常なし。自分は緊張しやすくて普段から精神安定剤を飲むことがあったので、その影響かもしれないとのことでした。
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