高齢者は「体重」が重要…標準を下回ると死亡リスクが急上昇
日刊ゲンダイDIGITAL / 2025年1月15日 9時26分
高齢者は体重が重要
実家に帰省したら親がずいぶん痩せていた──。年末年始、そう感じた人もいるのでは? 高齢者の「痩せ」は寿命にも関係する。首都圏で最大規模の在宅医療専門クリニックを運営する「医療法人社団悠翔会」理事長・診療部長の佐々木淳氏(顔写真)に話を聞いた。
「標準体重を下回ると死亡リスクが急激に上がるということは、統計的に示されています」(佐々木理事長)
65歳以上のBMI(体重と身長で計算する体格指数)と総死亡リスクを調べた国内の研究では、BMI16未満の女性の死亡率は、20~22.9の2倍以上という結果が出ている。
「年齢に関係なく、栄養を十分に取っていれば体重が増えます。つまり、低体重であるということは栄養が取れていないということ。アメリカの高齢者病院で行われた研究では、入院患者の栄養状態を良好、At risk(潜在的に危険な状態)、不良に分け、入院後の生存曲線を調べたところ、栄養状態が良好な人は3年後、約8割が生存していました。栄養状態が悪いほど生存率は低く、栄養不良の群は良好に比べて4分の1程度でした」
在宅医療を受けている人の大半は、救急搬送や入退院を繰り返し、衰弱していく。その間に使われる薬は病気治療に必要だが、高齢者においては食欲低下・摂食嚥下障害・低栄養を起こすデメリットも大きい。また、口で食べられず咀嚼や嚥下に配慮した食形態になると、ほとんどが低栄養になる。回復力に乏しいため、入院すると長引き、体のさまざまな機能が低下し、退院後も介護度が増し、また入院となったまま最期を迎えることになる。
「年を取ると必要なエネルギーが確保できず、どうしても痩せてしまう。食事が足りない人もいれば、慢性疾患でエネルギー消耗が大きい人もいます。不足しているエネルギーを確保し、標準体重を下回らないようにしてほしい」
■摂取すべきはタンパク質よりも熱量
今はピンピンと元気な親でも、高齢者の場合、ちょっとした風邪や転倒で状況が一変する可能性が高い。
痩せ気味の親なら「標準体重を下回らない。目指せ標準体重クリア」は親本人はもちろん、我ら子どももしっかり頭にとどめておくべき。
栄養不足に陥らないため重要なバイタルサインとなるのが体重。特に体重変化に目を向けたい。
「体重を測定し、日々の変化を見れば、基礎代謝などがわからなくても、また現在の食事量が計算できなくても、追加で必要なエネルギー量を算出できます」
-
- 1
- 2
この記事に関連するニュース
-
高齢者が健康を保つ「栄養」と「食事」で大切な基本はなにか【正解のリハビリ、最善の介護】
日刊ゲンダイDIGITAL / 2025年1月15日 9時26分
-
体の筋肉量が落ちにくくなる3つの条件は?...和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
ニューズウィーク日本版 / 2025年1月10日 17時5分
-
肥満度は「高め」の方が、癌も少なく長生きできる? 和田秀樹医師に聞く「老けない」最強の食事法
ニューズウィーク日本版 / 2025年1月4日 12時37分
-
ヴィーガン夫婦の1歳半の幼児が餓死…死亡時の体重はわずか6kg 行き過ぎた思想が招いたフロリダ州の虐待死事件を解説
ニコニコニュース / 2024年12月23日 16時30分
-
54歳女性が半年で16キロ減&腹囲16センチ減、キツい制限や運動なし「ずるい食べ方」ダイエット
週刊女性PRIME / 2024年12月21日 7時0分
ランキング
-
1芸能人なぜ呼び捨て?「日本語呼び方ルール」の謎 日鉄会長の「バイデン呼び」は実際に失礼なのか
東洋経済オンライン / 2025年1月15日 9時20分
-
2急増する大手黒字企業リストラのシビアな背景…2024年「早期・希望退職」1万人超え、前年比3倍に
日刊ゲンダイDIGITAL / 2025年1月15日 9時26分
-
3高齢者は「体重」が重要…標準を下回ると死亡リスクが急上昇
日刊ゲンダイDIGITAL / 2025年1月15日 9時26分
-
4「室内寒暖差がつらい…」その要因と対策が明らかに! - 三菱電機が紹介
マイナビニュース / 2025年1月14日 16時10分
-
5感染症の家庭内感染を防ぐために…温度と湿度、入浴、食事はどうしたらいいのか?
日刊ゲンダイDIGITAL / 2025年1月15日 9時26分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください