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【ミャンマー】子どもたちの未来のために、学校教育支援(6)

Global News Asia / 2016年1月15日 10時0分

織物業について話を伺った生徒のお母さんたち。

 2016年1月15日、織物業で家庭と教育を支える生徒のお母さんたちを紹介。

 シャン高原最大の湖、インレー湖に浮かぶインポーコンユワティッ中学校分校では、学校運営に地域のマイクロファイナンス事業の収益を役立てている(※)。同校を訪れた際に、生徒のお母さん6人から養豚のマイクロファイナンス事業を含め、インレー湖での生活について伺ったところ、彼女たちは全員、織物業で家計を支えていることがわかった。家事や育児、インレー湖周辺の主要産業である農業の手伝い、そして学校運営のためのマイクロファイナンス事業の傍ら、ミャンマー伝統巻スカート「ロンジー」やショール、シャン州名物のカラフルな肩掛けバックの製作に携わっているお母さんたちを紹介したい。

 インレー湖地域では、昔から織物業が盛んで、綿・絹・蓮の織物製品が特産品として挙げられる。最近では、湖上の織物工房が観光客の見学を受け入れているので、織物に興味がある人にはおススメの観光スポットだ。実際に蓮の茎の細い繊維である蓮糸を抽出する作業や機織作業が見学できる。

 今回話を聞いたインポーコンユワティッ村の女性の多くは、工房に働きに行くのではなく、工房から注文を受け自宅で製作するスタイルをとっていた。工房からの注文と同時に原材料を預かり、自宅に親戚の女性を何人か集めて共同で織物製作を行っている。

 例えば、販売価格2,500チャット(約250円)のショール1枚(約183センチ×約50センチ)を織ると工房が約40円で買い取ってくれる。だいたい1日に5枚織って、月に100枚織ることができるので約4,000円の月収だ。地域平均世帯月収が約17,000円のため、お母さんたちの織物製作は家計を支える主柱の一本と言える。小学校4年生の男の子のお母さんセイン・ミンさんは、「今は、家事や育児で月20時間くらいしか製作時間がとれないけど、もっと時間のあった独身時代なんて、月に8,000円は稼いでいたのよ」と得意そうに教えてくれた。

 こうして自宅で織られた製品は、工房を経由して、各地で販売される。シャン州に観光に来ている外国人やインレー湖にそびえる巨大な水上寺院ファウンドーウー・パゴダを訪れるミャンマー人参拝者への販売と、ヤンゴン・マンダレー等の大都市の市場での販売が中心だそうだ。

 インポーコンユワティッ中学校分校訪問の後、「地域開発委員会」のアウン・ミン委員長の自宅で、実際に織物製作の様子を見学させてもらった。3家族が同居する本宅に2台、離れに2台の織機があり、インポーコン伝統柄の「ロンジー」が織られていた。販売価格の約450円で、筆者も自分用のお土産として購入。これを仕立屋に持って行き、オリジナルの「ロンジー」を作るのが楽しみだ。

 中学生と小学生の2人の女の子のお母さんキン・ニンさんは、「今扱っているのは、綿糸だけど、将来的には絹も扱いたい。また、今よりももっと複雑な生地の柄にも挑戦してみたい」とよりよい織物製作にも意欲的。育児・家事・農作業さらにはマイクロファイナンス事業で大忙しのお母さんたちだが、自分たちのビジネスである織物に対する向上心もひしひしと感じられた。こうしたパワフルなお母さんたちの熱意が、各家庭だけでなくインレー湖地域の教育環境、延いてはこれからの発展を支えていくのかもしれない。

(※)2016年1月1日配信「子どもたちの未来のために、学校教育支援(5)」参照 リンクは、関連記事にあります。
【執筆 : 日本財団 田中麻里】

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