【ミャンマー】農村で幻のヤシ酒を味わう 樹液が木の上で発酵する不思議
Global News Asia / 2017年4月3日 9時0分
2017年4月3日、ヤンゴン郊外の農村で、街中では手に入らない幻のヤシ酒「タンイエ」にありつくことに成功した。ヤシといってもココナツではなく、シュロやトッティと呼ばれる多数の小さい実がなるヤシ科の植物から作る。自然発酵であるため保存が効かず、農村部のシュロの木が生えているエリアでしか味わうことができないのだ。
この酒がユニークなのは、実を発酵させるのではなく、高い木の上で切った枝から滴る樹液をためて酒にする点だ。半日程度で壺がいっぱいになるが、貯めている間も発酵が進み、朝晩に壺を回収する時にはすでに発酵による泡でいっぱいになっている。さらに数時間待つと、ちょうどよい飲み頃になるという。
筆者が訪れたのは、ヤンゴン郊外のタンリン地区にあるチャイカウ・パゴダの門前にある村だ。タンイエは古都バガンなどミャンマー中部が有名だが、タンリンでも飲めると聞いて飲める場所を探し回った。パゴダ近くでシュロの実を販売している屋台が並んでいたので聞き込みをすると、近くの村にタンイエを出す店があることが分かった。村の奥に入ると、草ぶきの掘っ立て小屋のような軽食店があった。土の上に建てた高床式の座敷がある。聞くとタンイエがあるという。
タンイエは、ゆうに1リットル以上はありそうな素焼きの壺で提供された。壺ひとつで2,000チャット(約160円)。店の主人によると、このタンイエは村の近くの木で取ったものだという。プラスチックのコップですくってグラスに移して飲む。口にすると、まず舌にわずかな炭酸を感じる。そして発酵食品特有のほのかな酸味に加え、柔らかい甘みを感じる。この間も発酵が進んでいるため、時間がたつと味が変わるという。アルコール度数は低いようだが、それでも大量に提供されるので酔いが回る。
樹上で壺で樹液を集めるという性質から、ミャンマーでは5月中に始まる雨季に入るとタンイエは姿を消す。今だけしかも都会にはないまさに幻の酒だ。タンイエを飲むために都会を離れて農村を訪れる旅に出る価値はあるだろう。
【執筆 : 北角裕樹】
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
砂糖が普及する以前の“幻のスイーツ”、調理工程に目を疑う 1300年前のエピソードが最高
Sirabee / 2024年5月1日 7時30分
-
ミャンマー:戦闘の激化、病院の閉鎖、ロヒンギャへの迫害──国境なき医師団スタッフが目撃した過酷な実態
国境なき医師団 / 2024年4月30日 17時14分
-
あいさつ代わりに「子どもはまだか」と言われる…過疎村に定住した女性が見た地方移住に向く人とそうでない人
プレジデントオンライン / 2024年4月21日 8時15分
-
ソウルの「110円コップ酒」、苦境のお年寄りを引き寄せる「心の拠り所」
KOREA WAVE / 2024年4月13日 8時0分
-
バーで役立つ洋酒の知識 第1回 知ってるともっと楽しく飲める、定番洋酒の原材料
マイナビニュース / 2024年4月11日 7時0分
ランキング
-
1バイデン氏発言に抗議=「外国人嫌い」に「残念」―日本政府
時事通信 / 2024年5月4日 6時54分
-
2CIAバーンズ長官、カイロ入り ガザ休戦交渉が本格化へ
共同通信 / 2024年5月4日 10時48分
-
3最大の脅威は「ウクライナ戦争ではなく中国」 トランプ陣営のシンクタンクが提言書出版へ
産経ニュース / 2024年5月4日 17時39分
-
4米CIA長官がエジプト入り=ガザ休戦で協議か
時事通信 / 2024年5月3日 21時42分
-
5世界初 「月の裏側のサンプル採取」に挑戦 中国の無人月面探査機発射成功
TBS NEWS DIG Powered by JNN / 2024年5月3日 20時44分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください