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ミドル・シニア世代が、思わず「部下の行動にハラハラしてしまう」理由【人材開発コンサルタントが解説】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年3月23日 10時15分

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(※写真はイメージです/PIXTA)

取引先や商談の場で、部下の言動にハラハラしてしまった……そんな経験のあるミドル・シニア世代も多いでしょう。いったいなぜそのように感じてしまうのか、『55歳からのリアルな働き方』(かんき出版)著者で人材開発コンサルタントの田原祐子氏が具体例を交えて解説します。

ミドル・シニアに眠る「経験知」という宝物

あなたの中には、まだ気づいていない、素晴らしい「極上の宝物(経験知)」が眠っています。それは、これからのあなたの人生において、生涯続く財産でもあり、決して消えることはありません。

それどころか、若手社員が今から追いつこうとして、死ぬほど頑張って働いても、決して手が届かない「あなた自身にしかない特別な宝物」です。

あなたには、長年コツコツと働いて蓄積してきた、経験知があります。

経験知とは、「単なる知識」のことではありません。経験知とは、経験や学びを通じて獲得される知識です。当然ながら、単なる知識とは、その内容も市場価値も大きく異なります。この経験知こそが、仕事において大きな価値を生み出します

経験知は「①専門分野=知識・領域」「②実践スキル=業務経験」「③コンピテンシー=行動特性・人間性」の3つで構成されています(以下、①〜③を総称する際には、「知識・スキル・コンピテンシー」と略します)。

部下にハラハラする背景にある、自身の「過去の失敗」

■ケース1.あなたのお客様が法人の場合

たとえば、あなたのお客様が法人である場合なら、こんな具合です。あなたが、部下と一緒にお客様を訪問する際、彼らが話す内容や言葉遣い、態度にハラハラしたことはありませんか。

部下が、気難しく物事に細かいお客様に対して、詳細な説明を省略し、「とにかく自分は、誠意を込めて仕事をするから、任せてもらえれば大丈夫です!」と、少々フレンドリーに話しかけている。

「このタイプのお客様に、あんな態度で接すると、あとから大変なことになるのに……」と心配になっているかもしれませんし、そもそも部下のような接し方はしないでしょう。

おそらく、あなたなら、長年数多くのお客様に接してきた経験によって積み重ねてきた経験知から、気難しく物事に細かいお客様に対しては、「相手が気になりそうなポイントを、あらかじめ想定して、細やか、かつ丁寧に、詳細にわたり説明」することでしょう。

もしかすると、昔、今目の前で部下がやってしまっているような失敗をしたことがあるのではないでしょうか。

少々親しみを込めた話し方をして、お客様からお叱りをいただいたり(私にも若かりしころ、この失敗の経験! あります)、とにかく自分に任せておけば大丈夫、と自信を持って伝えたにもかかわらず、お客様との商談が、うまく進まなくなってしまった経験があるかもしれません。

しかし、これも「こうすれば失敗する」という貴重な経験があるおかげで、知らぬ間に蓄積されていく、失敗しないための貴重な経験知となるのです。

これらは、あなたの経験知の中の「③コンピテンシー=行動特性・人間性」です。

お客様からのクレームも、知識の蓄積から対処法を予見

■ケース2.あなたのお客様が個人の場合

たとえば、あなたのお客様が個人の場合なら、こんな具合です。

部下が、自社商品のある1点に熱中して説明しており、お客様のほうがいささか引き気味になっている。

あなたの目から見ると、「部下は、弊社商品の○○という1点に集中しているが、お客様は、別の部分に魅力を感じているかもしれないことを、わかっていないな……」と、商談の先行きが心配になっているかもしれません。

きっと、ご自身が説明するなら、長年の営業によって蓄積した経験から、こんなお客様には、自社商品の別の部分、○○をメインに商談を進めていくことでしょう。

自分の思い込みで盲目的に商談を進める部下のふるまいが気になるのだとしたら、その視点はかつてご自身が、痛い経験を通じて体得したことかもしれません。

これらも、あなたが多くの経験を通じて、「多角的な視点でサービスを捉えているからこそ、そのお客様に合ったサービスを見極められる」という、無意識に蓄積してきた貴重な経験知です。これらは、あなたの経験知の中の「②実践スキル=業務経験」です。

■ケース3.あなたがモノをつくる仕事の場合

たとえば、あなたがモノをつくる仕事をなさっている場合なら、こんな具合です。

部下が、製品のある部位が故障したと言うお客様からのクレームに対して、まったく関係ない部位のことを説明したり、核心からズレた説明をしている。

あなたが、このクレームを聞いたとき、故障の部位や内容から、「ああ、このクレームなら、△△と××が原因だろう」と、おおよその見当がついたことでしょう。長年の経験を通じて、「この部位が壊れるなら、△△と××が関連している」という原因と部位の関連性を見抜き、対処法を予見できているはずです。

一方、部下は故障の原因について、見当はずれの見立てをしているわけです。これらは、あなたの経験知の中の「①専門分野=知識・領域」です。

いかがでしょうか。じつは、これら3つのケースのすべてが、あなたの中に潜在している強みである経験知があれば解決できるのです。

このような経験の蓄積で醸成される、貴重な経験知は、長年多くの経験を積むごとに暗黙知へと深化・進化していきます。

経験知は、長年あなたが苦労して経験した失敗や成功が、すべて無形の資産として蓄積された、かけがえのない「極上の宝物」です。

田原 祐子 人材開発コンサルタント/ナレッジ・マネジメント研究者  

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