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調査官「やっぱりな」…税務署に「タンス預金」がバレるワケ【税理士が警告】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年3月3日 11時15分

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(※写真はイメージです/PIXTA)

日本に50~100兆円ほどあるといわれる「タンス預金」。タンス預金がなくならない理由のひとつに「相続税対策」があります。しかし、多賀谷会計事務所の税理士でCFPの宮路幸人氏は「タンス預金は税務署にバレる」といいます。“足がつかないお金”であるタンス預金を、税務調査はどうやって見つけだすのか、詳しくみていきましょう。

「タンス預金」とは…銀行に預けないメリット・デメリット

日本銀行によると、2023年末現在の銀行券発行残高は約124兆円。そのうち、日本の個人が「タンス預金」として保有する現金は約50兆~100兆円あるといわれています。

「タンス預金」とは、銀行に預けずに自宅に置いてある現金のこと。昔の家庭では、タンスに現金を保管していたところも多く、その名残から現在は、タンスに限らず自宅においてある現金は基本的にタンス預金と呼びます。

タンス預金のメリット

タンス預金のメリットは、主に下記の2点です。

1.すぐに使える

急にまとまったお金が必要となった場合でも、手元にあれば、わざわざ銀行やATMに行くことなくすぐに使うことができます。また、引き出す際の手数料もかかりません。

2.銀行が破綻した場合や、死後預金が凍結された際に影響がない

銀行が破綻した場合、一般預金は1,000万円までしか保護されません。しかし、タンス預金であれば銀行の破綻とは無関係です。また、口座名義人が亡くなった場合、銀行はすぐに口座を凍結しますが、タンス預金であれば影響がないといえます。

タンス預金のデメリット

一方で、タンス預金には下記のようなデメリットもあります。

1.災害や盗難・紛失リスクがある

現金で保有している場合、火災保険や地震保険の対象外ですので、万一自宅が自然災害に遭った場合、まるごと失われてしまうことになります。また、盗難被害のリスクも高いといえます。

2.相続トラブルになりうる

タンス預金は、バレない限り金額・保管場所ともに本人しか知りえません。知らせないまま本人が死亡してしまった場合、その存在が誰にも知られない可能性があります。反対に、タンス預金が相続人に見つかった場合、横領などトラブルを招く可能性も高いです。

また、本人が認知症になった場合、本人ですらどこに置いたか忘れてしまうリスクもあります。

「相続税対策」としてタンス預金を行う人も多いが…

タンス預金の動機としては、「銀行に預金しても利息がほとんどつかないから意味がない」「預金を下ろすには手数料がかかる」といったものが多いです。

また、なかには「自宅に現金を置いておけば税務署にバレないだろう」と、相続税対策として意図的にタンス預金を行っている人もいます。

しかし、たとえ「タンス預金」であっても、脱税はバレます。では、税務署はいったいどのようにしてタンス預金の存在を見抜くのでしょうか?  

タンス預金は“脱税の温床”…税務署は常に目を光らせている

国税庁には「KSKシステム(国税総合管理システム)」というものがあります。これは、全国524の税務署と12の国税局をネットワークで結び、納税者に関するすべての情報を網羅するコンピュータシステムです。

私たちの収入・所得は、毎年の確定申告や給与の源泉徴収票から、おおよそは国に把握されています。

税務調査を行う場合、担当者は、亡くなった本人だけでなくその家族の預金通帳を10年分遡って調査します。ここで生活費以外に50万~100万円ほどの大きな資金の引き出しがあると判明した場合、タンス預金や子への贈与、名義預金などの可能性が疑われることとなります。

税務調査当日、調査官は、亡くなった人や相続人についての経歴や職業、現在の収入、そして生活ぶりなどをさりげなく聞き出します。物腰柔らかく雑談のように始まりますが、その際の“ふとしたひと言”からタンス預金がバレることも多いです。また、貸金庫を保有している場合は、その貸金庫も調査対象となり調査されます。

タンス預金は「脱税の温床」ともいえるため、税務署は常に目を光らせています。このほかにも、タンス預金は次のような流れでバレてしまうことがほとんどです。

①金融機関から生活費以上のお金を引き出してタンス預金へ  →金融機関の取引履歴から判明

②退職金や満期になった保険金をタンス預金へ  →支払調書などにより判明

③へそくりをコツコツタンス預金へ  →相続財産が想定より低い場合や、へそくりで大きな買い物をした際に判明

④株や配当金で儲けたお金を現金で引き出してタンス預金へ  →支払調書で判明

⑤賃料収入などを現金で受け取り、タンス預金へ  →昔からのつきあいで家賃を現金で受け取り所得税申告などしていない場合、相続税の調査過程で判明することがあります。

税務調査でタンス預金がバレてしまった場合、本来支払うべき相続税に加え、少なく申告したことへのペナルティとして、過少申告加算税(10%~15%)と本来の申告期限より遅れて支払ったことによる延滞税(原則7.3%~14.6%)を支払うこととなります。

しかもタンス預金の場合、「故意に相続財産を仮想隠ぺいしていた」とみなされ、過少申告加算税にかえて重加算税(35%~40%)の対象とされる場合が多いです。

タンス預金は相続税対策にならない

2024年7月ごろに日本銀行より新札が発行される予定となっていますが、この新札発行の目的のひとつにタンス預金のあぶり出しがあるのではないかともいわれています。新札に切り替えた後に大量の旧紙幣が使われると目立ってしまいますよね。

「タンス預金」は税務調査でバレた場合、重いペナルティを課される場合が多いです。したがって、家においてある現金は相続財産としてきちんと申告したほうがよいでしょう。

また、今回みてきたように、自宅に多くの現金が置いてあるという状況は、防犯上よくないため、やめておいたほうが賢明であると思われます。

宮路 幸人

多賀谷会計事務所

税理士/CFP

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