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不動産営業マン「家賃月17万円⁉買えば月15万円ですよ」…月収42万円・30代サラリーマンの破滅【フルローンでマイホームの落とし穴】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年3月4日 5時15分

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物価高の波は家賃にまで。更新のタイミングで家賃の大幅アップといわれるケースが増えているようです。そんななか「家を借りるよりも買ったほうが安い!」と、フルローンでマイホーム購入を決断する人も多いとか。しかしその先に待ち受けているのは、破綻の2文字。みていきましょう。

家なんて買えないという「賃貸派」も冷や汗…家賃も上昇傾向

不動産経済研究所によると、昨年1年間に全国で発売された新築マンションの1戸当たりの平均価格は5,911万円。前年比15.4%上昇で、7年連続で過去最高を更新しました。地域別にみていくと、特に首都圏1都3県の上昇幅が大きく、平均価格は8,101万円と前年比28.8%の上昇となりました。

――もう東京周辺ではマンションなんて買えない……

近頃、上昇する一方の不動産価格に、生涯、賃貸派であることを心に決めた人もいるかもしれません。しかし、家賃上昇を予感させる動きも。

総務省統計局『小売物価統計調査(2024年1月)』によると、全国の民営借家1ヵ月の家賃は1畳あたり平均4,492円。昨年12月は4313円だったので、一気に4%ほど上昇したことになります。70平米の3LDKのマンションだとすると、家賃は9.1万円→9.5万円と、3,800円ちかくアップしたことになります。

主要都市でみていくと、最も高いのが「東京都区部」で9,706円とダントツ。70平米の3LDKであれば20.5万円になります。

【主要都市の平均家賃】

1位「東京区部」9,706円(20万5,884円)

2位「浦安市」7,345円(15万5,803円)

3位「川崎市」7,215円(15万3,045円)

4位「府中市」6,596円(13万9,915円)

5位「横浜市」6,587円(13万9,724円)

6位「西宮市」6,563円(13万9,215円)

7位「立川市」6,350円(13万4,696円)

8位「大阪市」6,248円(13万2,533円)

9位「京都市」5,984円(12万6,933円)

10位「さいたま市」5,869円(12万4,493円)

※(かっこ)内は。70平米の3LDK。1畳3.3平米として計算

家賃は物価上昇の局面においても、急に上がることはないといわれています。しかし「家を借りる」ことのハードルもじわりじわりと上がっていることを予感させます。

家賃を払うより安いからと「フルローンで住宅購入」はありか?

東京市部の賃貸マンションに家族3人で住む、30代後半のサラリーマン。更新のタイミングで家賃の値上げを通告されたとか。

――家賃月15万円が2万円の値上げ……キツイ

そんな投稿に対し、「そんなに家賃を払うなら買えば」というアドバイスも。本人もそう思ったのか、駅前にできるマンションのモデルルームに見学にいってみたのだとか。最低価格が6,000万円台。用意できる頭金は、せいぜい500万円。「ちょっと現実的じゃないな」と思ったいいますが、営業マンのセールストークに心揺れているといいます。

――家賃が月17万円⁉ ここならフルローンで買っても今の家賃と同じくらいですよ

仮に男性が、平均的な給与を得ている大卒サラリーマンだとしましょう。30代後半であれば、手当て込みの月収は42.1万円、年収は637.0万円です。

家を買う時の基準はいくつかありますが、そのひとつが年収倍率。年収に対して物件価格が何倍か、といったもので、平均は7倍程度。10倍までなら許容しても、といわれています。世帯収入=男性の給与だとすると、許容範囲内となります。

もうひとつが返済負担率。年間の返済額が年収に対して何割かというもので、20%前後が適正といわれています。該当の物件をフルローンで購入した場合を考えてみましょう。返済方式は元利均等、金利は0.5%、返済期間は35年だとすると、利息分は541万5,305円、月々の返済額は15万5,751円になります。

多少の誤差はありますが、値上げ前の家賃とそれほど遜色のない金額でマイホームを実現できる、というのは間違いではなさそうです。

現在、超低金利政策によって住宅ローン金利が非常に低く推移。各金融機関は多くの融資を実行するために、頭金の有無を融資条件から外す傾向にあります。そのためフルローンで住宅購入も珍しいことではありません。一方で、昨今、聞こえてくるのは「ゼロ金利の解除」。この先、住宅ローン金利の上昇も見込まれるので、いまはフルローンでマイホームを実現するには最後のチャンスという専門家も。

フルローンで住宅購入には「手元に現金を残せる」「即時購入ができる」というメリットがある一方で、「返済額が高くなる」「返済不能に陥る可能性がある」というデメリットもあります。

特に新築物件の場合、いわゆる“新築プレミアム”が上乗せされた販売価格になっているため、入居後にすぐに価格は下落。そうすると、購入後、すぐに売却に迫られたとしても、すでに残債割れに。住宅ローンを組んでいる物件を売却する際には売却金でローン残債を支払うのが一般的ですが、売却金では完済できず、新たな資金が必要となります。しかしフルローンで住宅購入を考える人のなかには、そもそも手元資金がないからという人も多く、八方塞がりになるケースも珍しくありません。

本来フルローンの活用に向いているのは、手元資金に余裕があり、何かの際には対応できる人。つまりフルローンを利用しなくても家を買える人だといえます。「お金がないからフルローン」というのは、破滅に向かっていると考えたほうがよさそうです。

[参考資料]

不動産経済研究所『全国 新築分譲マンション市場動向 2023年』

総務省統計局『小売物価統計調査(2024年1月)』

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