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長寿企業を目指す社長「システム会社を買収したい」 専務「却下です。我々はコンサル会社なんですよ」…【社内対立を乗り越えられない組織】を変革成功に導く“6つの質問”

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年4月25日 8時0分

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(※写真はイメージです/PIXTA)

「こんなに頑張っているのに、なぜ組織は変われないのだろうか?」生き残るために組織変革の必要性が高まるなか、こうした事態に直面する企業が絶えません。240社・15,000人以上の成長支援を行った筆者らは、変われない理由の一つに「対立」を力に変えられていないことを挙げています。西田徹氏・山碕学氏による共著『組織が変われない3つの理由』(松村憲氏監修、日本能率協会マネジメントセンター)より一部を抜粋し、本稿では、「対立」を力に変えるための具体的施策を紹介します。

<関連記事> 「組織内の『対立』は避けるべき」←YESかNOか?日本中の〈頑張っているのに変われない企業〉が疑うべき“旧常識”

個人間の対立を力に変える「対人葛藤解決コーチング」

本稿でご紹介するのは「対人葛藤解決コーチング」です(図表)。

この手法では、シンプルな6つの質問が持つ言葉のパワーにより「エンプティ・チェア」*で起きたことと類似の結果を引き起こしていきます(*個人間の対立を扱う施策の1つ。フリッツ・パールズが編み出したゲシュタルト療法にルーツを持つ)。

この手法も、個人として「対立」している当事者二名のうち、一名に対して行っていきます。

【ステップ1】6つの質問を投げかける

あるコンサルティング会社の社長(Aさん)と専務(Bさん)が対立しているというケースを例に考えていきます(タテの対立が起きている状態です)。

ここでは、専務(Bさん)に対して以下の6つの質問を投げかけます。

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<6つの質問>

①行動:何が起きましたか?

②結果:どんなインパクトがあったのでしょうか?

③価値観:その時、何が重要でしたか?

④動機:その時、何を求めていましたか?

⑤信念:大切にしたかったことは何でしょうか?

⑥自己認識:あなたはどんな〇〇ですか?

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実際に行われた葛藤解決コーチングの概要を紹介します。

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①行動:何が起きましたか?

⇒Bさん「私たちはコンサルティング会社なのですが、社長が我々の業務領域と関連が深いシステム会社を買収すると言い出したのです。私は断固として拒否しました」

②結果:どんなインパクトがあったのでしょうか?

⇒Bさん「社長との関係が悪化しましたが、無駄な出費を避けることができました」

③価値観:その時、何が重要でしたか?

⇒Bさん「私たちはコンサルティング会社なんです。顧客の課題を解決する最高のサービスを提供するのが仕事の目的です。システム開発なんかにかかわっていてはダメなんです」

④動機:その時、何を求めていましたか?

⇒Bさん「コンサルティングという私たちの本業に対して、社長にもっと本気で向き合って欲しかったです」

⑤信念:大切にしたかったことは何でしょうか?

⇒Bさん「私たちは顧客の課題に対して、カスタムメイドで最高の解決を創造する会社だというこだわりを大切にしたかったのだと思います」

⑥自己認識:あなたはどんな「専務」ですか?

⇒Bさん「最高の解決策をたくましく創造するブルドーザーです」

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これらの質問を通じて、専務は自分の氷山の水面下にある様々な思いを表に出すことができました。これは「薪を燃やし尽くした状態」と同様です。

ここまでが十分に行えたら、コーチ役は次のステップへと誘います。

【ステップ2】相手のロールとして、同じ質問に答える

コーチ役は、同じ質問に対して「対立する相手の立場であればどう考えるか」を答えるよう促していきます。この例だと、専務(Bさん)に対して、社長(Aさん)の立場であればどう感じたかを質問していきます。

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①行動:相手の立場から見ると、何が起きましたか?

⇒Bさん(Aさんの立場)「システム会社買収を提案したところ、専務に拒絶されました」

②結果:相手にとってどんなインパクトがあったのでしょうか?

⇒Bさん(Aさんの立場)「前はベストコンビだった専務にNOを言われて、残念な気持ちが起きたと思います」

③価値観:その時、相手にとって何が重要でしたか?

⇒Bさん(Aさんの立場)「あぁ(相手の立場に気づきを得た様子で)、あの人は都市工学が専門で、『千年続く都市』といったことにこだわっているのですよ。長続きするというキーワードが重要だったと思います」

④動機:その時、相手は何を求めていましたか?

⇒Bさん(Aさんの立場)「長続きする商売としてのシステム会社を求めていたと思います。コンサルティング業は、1回1回が単発ですから」

⑤信念:相手が大切にしたかったことは何でしょうか?

⇒Bさん(Aさんの立場)「わが社も千年続くことを夢見、大切にしていたと思います」

⑥自己認識:相手はどんな「社長」ですか?

⇒Bさん(Aさんの立場)「長期のスパンでものを見る社長です」

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このように質問に答えながら、相手側の氷山の水面下の視点を得ていきます。

ここまでできれば「対立」の問題は、ほぼ解消しているのですが、さらに相手への働きかけを具体化させるステップへと移行します。

【ステップ3】具体的な働きかけを考える

ステップ3は以下で構成されます。

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①相手に対する働きかけの選択肢を挙げてもらう

②それぞれの長所・短所も挙げてもらう

③1つの選択肢を選んでもらう

④その後、以下のような質問を行う

 「Aさんに一番伝えたいことは何ですか?」

 「それが伝わると、あなたは何を得ることができますか?」

 「それが伝わると、Aさんは何を得ることができますか?」

 「では私がAさんだと思って、リハーサルしてみませんか?」

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実際の支援の場面では、次のような会話が、コーチと専務(Bさん)のあいだで交わされました。

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コーチ「Aさんに一番伝えたいことは何ですか? 言葉にしてみましょう」

Bさん「システム会社を買収すると言い出した社長の本音は『長く続くビジネスが大事』ということだったんですよね。それを確認できなくて申し訳なかったです。私はコンサルティングでも『長く続くビジネス』は可能だと思うのです。一緒にそれを考えてみませんか?」

コーチ「それが伝わると、あなたは何を得ることができますか?」

Bさん「私が大切にしている『最高の解決策を創造する』というこだわりが守られます」

コーチ「それが伝わると、Aさんは何を得ることができますか?」

Bさん「彼が大切にしている『千年続く会社』に一歩近づくことができます」

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このようにして対立を組織の力に変えていくのが「対人葛藤解決コーチング」です。

【著者】西田 徹

バランスト・グロース・コンサルティング株式会社 取締役

【著者】山碕 学

バランスト・グロース・コンサルティング株式会社 取締役

【監修】松村 憲

バランスト・グロース・コンサルティング株式会社 取締役

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