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超富裕層の資産運用をサポートする「プライベートバンカー」…知る人ぞ知るプロたちの厳しすぎる仕事内容

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年3月27日 11時15分

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(画像はイメージです/PIXTA)

超富裕層の資産運用をサポートする「プライベートバンカー」という仕事をご存じだろうか。厳しい職業倫理を課され、違反すれば厳しい処分が下される。今回は、一般の方々にはなじみの薄いプライベートバンカーという仕事の内容について垣間見てみよう。元メガバンカーの公認会計士・税理士の岸田康雄氏が解説する。

プライベートバンカーに課せられた、厳しい職業倫理・行為基準

超富裕層の資産運用・資産防衛のため、顧客に伴走し続けるプライベートバンカー。彼らは顧客のために最善を尽くすことが求められ、顧客に対して大きな責任を負っている。

プライベートバンカーは、強い自己抑制プラス、単なる契約上の義務を超え、顧客のために自発的に最善を尽くすことが求められる。これがプライベートバンカーの職業倫理の考え方であり、公益社団法人日本証券アナリスト協会の職業行為基準においても明文化されている。

プライベートバンカーが、職業行為基準に違背する事態が生じた場合には、サービス停止や登録抹消という懲戒処分を受けることとなる。

プライベートバンカーは、顧客の利益を最優先に考え、顧客本位の姿勢で課題解決に努めるプロフェッショナルだ。顧客のニーズに応え、外部の専門家とも連携しながら、事業や資産に関して高度な能力を発揮する。また、企業の創業家一族に最適な提案を行い、その実現をサポートし、長期にわたってフォローする能力が求められる。

士業や関連業種についての法令、自主規制

プライベートバンカーには、士業や関連業種に関わる法令に違反してはならないという原則がある。

たとえば税理士法では、税理士業務として税務代理、税務書類の作成、税務相談などが定められているが、プライベートバンカーが税務相談を行うことは禁止されている。プライベートバンカーは、税制改正などの情報提供や一般的な質問へ対応することは許されるが、具体的な資産と負債をもとにした相続税額の計算などは行ってはならない。また、弁護士法において、弁護士以外の人が報酬を目的として法律事務を取り扱うことが禁止されている。

もしプライベートバンカーが職業行為基準に「違反」したら?

プライベートバンカーが職業行為基準に違反した場合、「プライベートバンキング職業倫理等審査委員会」の判断によって、懲戒処分を受けることがある。

違反の事例には、法令違反や処罰、行政処分を受けた場合、プライベートバンキング職業行為基準に反した場合、資格保有者としての信用や名誉を損なう行為をした場合などが含まれる。懲戒の形態には、口頭や文書による注意、権利や優遇措置の停止、資格登録の抹消などがある。

また、資格登録が抹消されると、その旨が書面で通知され、氏名や理由がウェブサイト上で公示される。

プライベートバンカーの「職業行為基準」とは?

プライベートバンカーには、信任義務に基づく職業倫理としての行動基準が求められる。これには「忠実義務」と「善管注意義務」が含まれており、高い職業倫理を持つこと、法令や規制、職業行為基準の遵守が不可欠である。

職業行為基準には、顧客への最善のアドバイス提供、利益相反の排除、専門家としての能力の維持・向上、顧客の秘密保持、投資の適合性の確認、不実表示の禁止、資格・認可を要する業務に関する制約の7つの基準がある。

プライベートバンカーの「7つの基準」

1 顧客への最善のアドバイス提供

2 利益相反の排除

3 専門家としての能力の維持・向上

4 顧客の秘密の保持

5 投資の適合性の確認

6 不実表示の禁止

7 資格・認可を要する業務に関する制約

基準1 顧客への最善のアドバイス提供

基準1では、顧客へ最善のアドバイスを提供し、その信頼に応えることが求められている。これには、顧客の利益を忠実に優先する「忠実義務」と、専門家として適切な注意と配慮を払う「注意義務」がある。

プライベートバンカーは、自己や第三者の利益を顧客の利益に優先させてはならず、公正かつ客観的に業務を行って、すべての顧客を公平に扱う必要がある。

基準2 利益相反の排除

基準2では、利益相反の排除が求められている。プライベートバンカーは、顧客に対して公正かつ客観的なプライベートバンキング業務を行う。受け取る報酬や第三者へ紹介料を顧客に開示しなければならない。

顧客へ投資の推奨を行うときには、原則として、自ら保有している銘柄を推奨してはならない。また、原則として、顧客の取引の相手方となってはならない。

基準3 専門家としての能力の維持・向上

基準3では、専門家としての能力の維持・向上に努めることが強調されている。プライベートバンカーは、職務を誠実に励行し、専門知識の研鑽に励まなければならない。

基準4 顧客の秘密の保持

基準4では、顧客の秘密保持義務が求められている。プライベートバンキング業務で知り得た情報を他に漏らしてはならない。

基準5 投資の適合性の確認

基準5では、投資の適合性について規定されている。プライベートバンカーは、顧客の財務状況や投資目的を正しく理解し、最適な投資提案を行わなければならない。

基準6 不実表示の禁止

基準6では、不実表示の禁止が規定されている。プライベートバンカーは、提供できるサービスや持っている資格に関する正確な情報を提供することが求められる。

基準7 資格・認可を要する業務に関する制約

基準7では、資格・認可を要する業務に関する制約が示されている。プライベートバンカーは、適法な資格や認可なしに、それらが必要な業務を行ってはならない。

これら7つの基準は、プライベートバンカーが顧客に対して適切なサービスを提供し、信頼関係を築くための重要な指針なのである。

岸田 康雄 公認会計士/税理士/行政書士/宅地建物取引士/中小企業診断士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/国際公認投資アナリスト(日本証券アナリスト協会認定)

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