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株式投資で資産を増やすなら「長期投資」が手堅いが…“勝てる銘柄”として〈ホワイト企業〉を選ぶのが得策と言えない、意外なワケ【投資家が助言】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年4月17日 11時15分

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(※写真はイメージです/PIXTA)

株式投資で資産を増やすための方法として、提唱される「長期投資(バイ&ホールド)」。「長期投資はバイ(買い)ですべてが決まる」と、会社員投資家の奥山月仁氏が言うように、その際の銘柄の選び方が重要です。奥山氏の著書『個人投資家入門byエナフン 株で勝つためのルール77』(日経BP)より、詳しく見ていきましょう。

株式市場は「バイ&ホールド」に有利にできている

2007年のことである。私はそれ以前の4年間に株式投資で財産を3倍に増やすことができたのだが、「やり方次第ではもっと増やせたのではないか」という思いを強くしていた。なぜだろうか。

それまでの私の投資スタイルはというと、デイトレードから長くても1ヵ月程度のスイングトレードで、今と比べるとかなり短期的なものだった。当時は短期トレードが大流行。株の雑誌やネットでも短期トレードの手法が幅広く紹介され、それ以外の投資法は時代遅れとでも言わんばかりの状況だった。

ところがある時、自分が売買した銘柄の株価を長期的にチェックしてみた。すると驚いたことに、実際はその4年間に短期で売らずにただじっと持っていさえすれば、最初の買値から5倍や10倍に上がったものが大半を占めていた(図表1)。

何もしなければ5倍高や10倍高になった株を何らかの理由を付けて細切れに売買した結果、財産を3倍にしか増やせなかったわけだ。「これまでの努力は何だったんだ!」。私は自分の投資法に対して大いに疑問を感じざるを得なかった。

「自分は企業を分析して投資するスタイルなので、短期トレードよりも長期投資のほうが向いているのではないか」「会社勤めをしながらの短期トレードは根本的に不利ではないか」「何度も絶望と有頂天を味わいながらギリギリの勝負を続けてきたが、長期的に見ると、それらは取るに足らない小さな変化だったのではないか」……。

この時、以前図書館で借りて目を通し印象に残っていたある本のことを思い出した。“伝説のファンドマネージャー”と言われた、ピーター・リンチの著書『ピーター・リンチの株で勝つ』(ダイヤモンド社)だ。早速、アマゾンで購入し、改めてこの本を読み進んでいくと、自分の投資法を振り返って抱いた疑問が確信に変わり、読み終えた時に「次はリンチの投資スタイルで行こう」と決心した。

一度買ったら、少々上がろうが下がろうが、そんなのお構いなしで保有し続ける。前日のニューヨーク市場の値動きも、突然、飛び込んできた要人の発言も、SNSで共有される最新の注目テーマも全く気にしない。ただひたすら長期投資するに値する銘柄を探し続け、それを見つけたら、あとはそれをまとめ買いして、よほどの問題が起きない限り、ずっと保有し続ける。バイ&ホールド戦略だ。ウォーレン・バフェットやピーター・リンチ、あるいはジョン・テンプルトンといった米国の偉大な投資家が提唱してきた、極めてオーソドックスな投資スタイルである。

当然、ネット上の心理戦を避けることも可能だし、短期的な需給要因とも無関係だ。

「けど、そんな旧式兵器が現代の情報戦で本当に通用するのか?」。そんな疑問もあるだろう。しかし、大多数が将来性を無視した心理戦や需給戦に明け暮れていることこそが原因となって、逆に、将来性に着目した長期投資にはチャンスが広がるばかりだ。

また、長く保有すれば保有した分だけ、安定して配当も入ってくる。仮に配当利回りが3%あったとして、それを5年間保有し続ければ、株価が15%下がったとしてもまだ負けてはいない。

長期視点に立てば、株式市場は、基本的にバイ&ホールド戦略にとって有利なようにできている。短期視点ではわずかな優位性でも、時間が積み上がるとともにその優位性も積み上がり、小高い丘のようになって、敵を見下ろすことができるのである。

長期にわたって成長しそうな「理想的な企業」を探し続ける

極論を言うと、長期投資はバイ(買い)ですべてが決まる。良い株を買いさえすれば、あとは何もしなくても、その企業があなたを大金持ちにしてくれるのである。

バリュー投資においては、「いつかきっと、あるべき適正価格に株価が到達するはず」という市場の価格調整機能を信じる必要がある。「今は間違った価格形成によって割安に買えるが、いつか必ず企業価値に対して適切な価格になるはずだから、それまではこの株を保有し続けよう」という発想が大前提なのである。

ただ、残念ながら、市場は少々選り好みが激しいため、すべての銘柄がいつかきっと適正価格になるとは考えないほうがよい。いくつかの条件を満たした、市場が好みそうな銘柄についてのみ、いつかきっと適正価格になると考えたほうが、投資戦略上はうまくいくだろう。

では、どういう銘柄が市場に好まれるのか?

一言でいうと、「今後長期にわたって成長しそうな企業」ということになる。つまりグロース投資の対象にもなり得る企業である。それ以外はいったん「消し」だ。いくら画期的な技術を開発したとしても、いくらSNS受けしそうな話題性のある商品を出したとしても、それだけでは長期的な上昇は期待できない。その技術やSNS映えする商品が業績を長期的に押し上げることが確認されて初めて株価が別な動きを始めるのである。

あるいは、いくら環境にいい仕事をしていても、いくら社員に優しいホワイト企業であったとしても、それだけを理由に株価が上昇するようなことはない。確かにそのようなちゃんとした企業のほうがそうでない企業と比べて長期的に見て成長しやすいという傾向は存在するが、それが理由で株価が上がるわけではない。あくまで、成長が前提なのである。

「じゃあ、長期ってどのくらい?」。そんな疑問が湧いて当然だ。結論から言うと、「3~5年」である。「1年は成長しそうだが、その先は難しい」と判断されてしまう企業は、ほぼ確実にその先の停滞が株価に反映されるため、たとえ割安であったとしても、株価は上昇してくれない。誰の目にも停滞が明らかになってからでは売るに売れなくなるので、早め早めに多くの投資家が売りに動いてしまうのだ。

その点、3~5年も成長が期待できる企業は投資家も安心して持ち続けることができる。仮にその先は成長が難しい場合でも、それだけの期間があれば、企業も次の手を打つことができる。

アマゾン(AMZN)を思い出してほしい。最初、アマゾンはネット専業の書店に過ぎなかった。それでも3~5年は成長が期待できたが、その間に本以外のものも売り始めた。さらにクラウドや動画サービスが始まり、今では世界トップクラスの超巨大企業になったわけだ。

多くの若き成長企業はアマゾンと同じような成長構造を持っている。まず、現業が順調で3年程度の未来までは十分成長が期待できる。さらにその次についても何かしら既に手を打っていて、どっちに転がるかはまだ分からないものの、成長の種を複数用意している。それは海外進出の場合もあるし、品ぞろえの強化の場合もあるし、全くの新事業の場合もある。

私は常にそんな理想的な企業が激安価格で買える機会を探し続けている。

奥山 月仁 会社員投資家

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