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中長期保有が基本の〈新NISA〉でも「売却・利益確定」を検討すべきタイミングとは【投資家が助言】

THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年4月11日 11時15分

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(※写真はイメージです/PIXTA)

新NISAは中長期で運用するのが基本ですが、ときには売却・利益確定を検討したほうがよいタイミングがあります。場合によっては、何もしないことで損失が拡大してしまうリスクもあるため注意が必要です。本記事では『新NISAはほったらかしが9割』(双葉社)から著者の長田氏が、新NISAの売却・利益確定に関するポイントを詳しく解説します。

値上がり株の“利確タイミング”は?

新NISAで個別株投資をする場合には中長期保有が基本となりますが、その中でも利益確定が必要なタイミングがあります。

それは「業績と比べて株価が著しく上昇したとき」です。

何らかの好材料が出る、テーマとして物色されるなど、株価が急騰した場面では利益確定売りを考えるタイミングです。

“好材料株”や“テーマ株”として市場の注目を集めだすと一気に株価が急上昇することがありますが、こうした場面に出会ったときは要注意です。短期的な投機家の資金が大量に入ってくるため実力以上に株価が上がるケースがあるのです。「このままどこまでも上がりそう」という“錯覚”を感じたら、脳内にアラートを鳴らしてください。

短期的な材料で跳ね上がった株は、ブームが終われば下がります。ブームが去った株は高値から半値になることも珍しくありません。いくら中長期で目をつけた有望株であろうと、こうした値上がり局面では売ったほうがいいでしょう。

その場合、もちろん一括で売却して利益を確定するのもいいのですが、一括で売却せずに、様子を見ながら分割で売っていくのもいいでしょう。これは“売り上がり”という手法ですが、一部で利益を確定しながらさらに値上がりも狙えます。

逆に値上がりが止まって下落し始めたとしても、すでに一部は利益を確定しているのでいつでも売ることができます。

この“利益を確定している”という状態にいることで、メンタルが落ち着いて冷静な判断ができるのです。

小型株であればあるほど値動きは激しくなります。保有銘柄がいきなり急騰を始めたら、そのネタ(テーマや材料)の賞味期限を考慮して、少しづつ売却していきましょう。たいていのケースでは、あとで割安で買い戻せるパターンが多いものです。

有望な銘柄であれば、いったん売却した後でも非課税枠があれば(あるいは復活したら)買い戻せばいいのです。

中長期投資が基本の新NISAでも、短期的に株価が急上昇した場合には“利益確定の売却”を頭に入れておいてください。

「株価が2倍」になったら一部売却を

では短期急騰銘柄以外、新NISAで保有株を売るタイミングはいつがいいでしょうか?

私も実践していてわかりやすい売りタイミングは「シンプルに株価が2倍になったときに半分利益を確定する」という方法がおすすめです。

2倍になった株価はさらに伸びていく可能性が十分にありますが、一定割合を売却することで、残りの株価の取得単価が下がります。

たとえば平均取得単価300円の株を1,000株保有していたとすると、取得価格は30万円になります。その株が600円になったところで半分の500株を売却します。すると非課税口座なので税金を取られず、売却額は30万円になります。つまり、その株式に対しては投資額(30万円)を回収することができました。

その結果、残りの500株は元本を回収済みの“恩株”、早い話が購入金額0円、コストゼロの“タダ株”ということになり「いつ売っても利益になる」状態となります。

こうなれば心に余裕を持ってさらなる上昇局面に備えることができます。相場の状況次第で下がってくれば再度購入することも簡単です。上がって嬉しい、下がって嬉しいのメンタルで相場に臨むことができます。

もちろん全株保有し続けていた場合と比べれば、その後値上がりしたときの利益は半分になってしまいますが、2倍とはいわずとも上昇過程のどこかで利益をある程度確保しておくことは大切です。

「ああ、あのとき売っておけば良かった……」とならないように、下落のリスクを軽減することは株式投資の基本戦略です。

●具体例:エムスリー(2413)

国内だけでなく世界中の医者が利用するメガプラットフォームを運営するエムスリーは、2013年当時の400円程度から大台を2つ変えて、テンバガーを超える“25倍バガー”もの暴騰劇を見せた。しかし、その後下落に転じ、大天井をつけた株価から1/4に。

エムスリーの2021年の年初の大天井株価での予想PER(株価収益率=1株当たり純利益に対して株価が何倍になっているかを示す)は150倍と超割高。割高な成長株の9割くらいが、このような株価推移となる傾向にある。

現在はインフレ状況にあるため、割高株はより売られる環境にある。2倍とはいわずとも、ある程度のところで利確しておかないと痛い目を見ることになりかねないので要注意!

非課税枠にこだわらずに利益確定(あるいは損切り)

新NISAでも保有株を売却することの必要性は、保有銘柄を売ることで成長投資枠が空くので他の有望銘柄を仕込むことができるようになることも挙げられます。

新NISAでは1,800万円( 個別株式では1,200万円)という非課税枠を意識して投資することになります。旧NISAのときと異なり、投資枠を使い切っている場合でも、売却した分(取得価格)については翌年に枠が復活するので(その年すでに1,800万円の非課税投資枠〈つみたて投資枠と成長投資枠の合計〉を使い切っている場合)、もう一度非課税枠を使って投資をすることができます。

中長期保有が基本の新NISAでも“売り”が重要となる理由

たとえば、1,200万円分の株式を新NISAで購入して成長投資枠について非課税枠を使い切っているときに、保有銘柄を200万円で売却した場合、その銘柄の取得価格が100万円であれば、翌年には“100万円”の成長投資枠が復活します。

新NISAは枠をなるべく利用することが重要ですが、ある程度非課税枠が埋まってきたら、非課税枠にこだわって持ち続けずに利益確定の売りをすることも大切なのです。

株を保有し続けて利益を伸ばすには“増収増益”基調であることを確認していくということも必要になります。企業の株価は最終的には“どれだけ稼ぐことができたか”つまり利益水準に左右されます。

「今後も業績が上向くだろう」という期待が株価を押し上げていきますから、基本的には増収増益基調が崩れない限りは保有し続けることで利益を増やすことができます。

ただし、その基調が崩れたり、増収増益であっても当初の見込みより成長率が下がると株価の上昇も止まり下落します。

その企業に何らかの変化が生じて、右肩上がりに上昇していた株価のトレンドが変わり明らかに値下がりしてきたら、ある程度下落したところで売ることを事前に決めておいたほうがいいでしょう。

たとえば「高値から2割下落したところで売る」などのリリースポイントを設定しておけば、ズルズル落ちていくのを持ち続けて損が拡大する(あるいは利益が減少する)のを防ぐことができます。

それが損切りであったとしても設定価格まで落ちたら売る。そうしたディフェンシブなメンタルを持つことも大切です。

たとえ配当株中心に投資するといっても、やはり投資の前提条件が崩れてしまった場合には撤退したほうがいいでしょう。業績が安定していることを前提に投資していたのであれば、一度損切りすることも検討する場面になります。

時間を味方につけることができる新NISAであっても「いずれ戻すだろう」などと安易に考えずに、事前に設定したリリースポイントに到達したら躊躇なく売ることで含み損を長期間抱えることを避けられ、さらに非課税枠も再利用することができる。

中長期保有が基本の新NISAでも“売り”は重要なのです。

長田 淳司

サラリーマン投資家

※本記事は『新NISAはほったらかしが9割』(双葉社)の一部を抜粋し、THE GOLD ONLINE編集部が本文を一部改変しております。

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