客足まばら&低価格な「場末のスナック」が“それでも潰れない”ワケ【登録者数50万人/税理士YouTuberが解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年4月3日 7時20分
(※写真はイメージです/PIXTA)
お世辞にも繁盛しているように見えない「場末のスナック」が潰れないのは、一体なぜなのでしょうか? チャンネル登録者数50万人を超える税理士YouTuber、菅原由一氏の著書『タピオカ屋はどこへいったのか? 商売の始め方と儲け方がわかるビジネスのカラクリ』(KADOKAWA)より一部を抜粋し、見ていきましょう。
スナックは、実は「サステナブル(持続可能)な経営」の一例
集客や収益が安定したサステナブルな経営がしたい。そう考える人には、スナック経営が参考になるかもしれません。
スナックはお酒を提供する店ですから、その点では居酒屋と同じです。また、ママやチーママと呼ばれる女性スタッフが接客しますから、キャバクラやガールズバーとの共通項もあります。ただし、いくつかの特徴があり、その特徴を活かすことで市場内での差別化を図っています。
スナックは「出店・運営にかかるコスト」が安い
規模の点から見ると、スナックは居酒屋やキャバクラなどと比べて小規模で省スペースです。また、居酒屋やキャバクラが繁華街に多く出店しているのに対し、スナックは少し離れた場所にあることが多く、住宅街の端に店を構えているケースもあります。
このような違いから、スナックは開店コストも、家賃など運営にかかるコストも安く収まります。店の運営コストはほぼ固定で出ていくお金ですから、安くすることがサステナブルな経営に結びつきます。
「1対n」で接客するから人件費も安い
業態の点から見てもコストの強みがあります。居酒屋と比較すると、居酒屋は料理メニューが豊富で、その分だけコストがかかります。
一方のスナックは、スナック(軽食)を提供するスナックバーが語源で、料理のメニューが限定的であるためコストが低くなります。
キャバクラは高コストです。キャバクラは女性スタッフがお客さんの隣に座って1対1に近い形で接客をするため、きれいな女性を何人も雇う必要があります。また、店内をきらびやかに装飾する必要もあり、これらがコストを押し上げます。
一方のスナックはママやチーママがカウンター越しに会話する1対n(複数)形態の店が多く、人件費が低くなります。運営コストが低ければ価格設定も低くできます。
また、こぢんまりとした店は落ち着いて飲めますし、ママなどとの距離も近くなります。お客さん側から見ると、スナックは、安く、落ち着いて飲めることが長所で、それが他の食店との差別化要因になっています。
細かな話ですが、キャバクラやクラブなどのような接待を行う店は風俗営業、接待を行わずにカウンター越しに話すだけの店は深夜酒類提供飲食店営業となり、それぞれ必要な許可が異なります。
スナックの場合も、お客さんと一緒のテーブルについたり、デュエットしたりする場合は風俗営業の扱いになります。
“ストレスフリーな場が欲しい”…現代社会のニーズにもぴったり
お客さん側のニーズをもう少し深く掘り下げると、スナックはお客さんたちのサードプレイス(third place)になっているといえます。
サードプレイスは、居心地が良く、ストレス、重圧、責任感などから開放される「第3の場所」を意味する言葉です。
第1の場所であるファーストプレイスは家です。第2の場所であるセカンドプレイスは職場や学校です。多くの人は日常的にこの2箇所を行き来していますが、それだけでは息が詰まります。
サードプレイスという概念を提唱したレイ・オルデンバーグというアメリカの社会学者によれば、現代社会においては「サードプレイス」を持つことが人生の満足度を高めることにつながります。
会社帰りにふらっと寄ることができ、財布に負担をかけずに息抜きできるスナックは、まさにサードプレイスの条件を満たしている店といえるでしょう。
サードプレイスのポイントは「ゆるくて良い」ことです。自宅や職場はきれいにしておきたいですが、サードプレイスは雑多で構いません。緊張感から解放されるという点では、むしろ雑多であることが大事です。多少、汚くても問題なく、狭くても構いません。美人揃いで料金が高いキャバクラは緊張感が生まれますが、スナックはリラックスして飲むことができます。
その点でもスナックはサードプレイスにピッタリで、そのゆるい雰囲気がリピーターを引きつける重要なポイントになっています。
菅原 由一
SMG税理士事務所 代表税理士
YouTubeチャンネル『脱・税理士スガワラくん』運営
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